0で始まって1で終わる .
□転生
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真っ白な空間に、オレは立っていた。
どこまでも真っ白で、どこまでも広い。
あるものはオレ自身と、目の前のモニターのみ、だ。
『一週間後、あなたは生まれます』
無機質な音声がする。
「はい」
『それでは、あなたに割り振られたコストを表示します』
画面に数字が映し出される。
…103。
『コスト103以下で、次のピースから選んでください』
声と同時に、画面が切り替わる。
「ピース」と呼ばれた数多の項目と、「コスト」と呼ばれた数値。
器用な手先:10
整った顔立ち:25
天才的な頭脳:30
誰にでも好かれる性格:50
この中から、持って生まれるものを選ぶ。
…103とは、少ないものだ。
「……器用な手先」
『残りコスト、93です』
「そこそこの運動能力」
『残りコスト、78です』
身長、顔立ち、性格…全てがここで決まる。
生まれてから決まるのは、自分の名前だけ。
名前だけは、オレが決めるものじゃない。
「整った顔立ち」
『残りコスト、53です』
顔は良いほうがいい。
「高い身長」
『残りコスト、38です』
見下ろされるのは我慢ならない。
「中の上の頭脳」
『残りコスト、18です』
頭はそんなに良くなくていい。
「当たり障りの無い性格」
『残りコストは3です』
……3、だと?
『選択を終了しますか?』
コストを残してしまうのは惜しい。
だが、そんな低コストのピースがあったか?
いいピースほど、高いコストがついている。
103では、所詮この程度のピースしか…。
「……あ、」
リストの一番下に、ひっそりと書かれたその言葉。
それは、オレが一番欲しかったものだ。