Novel 小説
□Ideal alice
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XX年5月5日[金]
何度目かの僕の誕生日
子供の日
大人になるのに
『雲雀
二十歳の誕生日おめでとう』
今日、僕は"大人"になった
子供の日なのに
『ありがとう。隼人』
と、
目の前にある少し大きめの
真っ白い生クリィムと
今が旬の真っ赤な苺が
これでもかというくらいに
ふんだんに使われたケェキ
にナイフをいれる
もちろん僕はたべないけど
『隼人。口あけて』
銀の細かい錦糸細工なフォークにケェキを刺しちらつかす
―――パクッ
恥ずかしそうに顔を赤らめても
この誘惑に勝てないことを
僕は知っている
『おいしい?』