短編夢
□切り傷
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ボンゴレ特殊暗殺部隊ヴァリアー
イタリアでこの名前を言えば知らない人はきっといない・・・。
そして、その中でも、最も危険なのが、
「プリンス・ザ・リッパー」ベルフェゴールであることも、
知る人はきっといないであろう。
ヴァリアーのアジトの地下。
私は今そこにいる。
知らなかったのがいけなかったんだ。
ベルの本性を知らなかったのがいけなかったんだ。
両手を縛られ、目隠しをされ、いわゆる監禁状態の私。
疲労で体力もほとんど残っていない。
頭が重い・・・・。
自分の体なのに、自分の体じゃないみたいで、怖い。
[カツン]
靴の音。
目隠しをされているせいか、音に敏感になった。
しかし、たとえ音に敏感でなくても、
私には今目の前に立っている人が誰なのか、しっかり分かる。
「ベル・・・・。」
私が名前を呼ぶと、足に鋭い痛みが走る。
彼の持つナイフで切られたのだろう。
「ベル・・・やめて・・・・お願い」
私が喋るとまた、鋭い痛みが走る。
私には、人としての権利がない。
あったとしても、彼の前では「無」に近い。
「一生オレの人形として遊んでやるよ。瑠璃・・大好きだよ」
(狂った愛情が止まる日は訪れるの?)
(私が自由になれる日は訪れるの?)