短編夢

□「貴方の手で」
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 逃げなくちゃ・・・!(逃げないで)

怖い!(怖くない)

死にたくない!(死にたい)

私の後ろを追って来る黒い影達。

私が悪い。

それは分かってる。

でも私は彼以外には殺されたくない。

死ぬなら愛する彼の手で。

私の心臓(こころ)を貫いて。

「( )」

私の名を呼ぶ声。

低くも無く高くも無い声が私を呼ぶ。

この声だ。

私が待っていたのは、この声なんだ。

「リボーン・・・。私を・・・・・殺しに来たの?」

振り向きながら、彼に問う。

彼は無言で私の頭に銃を向ける。

早く撃って・・・。

他の人が来る前に。

でも・・・・・・

「お願い・・・。私の心臓を撃って・・・。」

醜い死に方は嫌だ。

貴方なら簡単でしょ?

ほら・・・貴方はまた無言で銃を私の心臓(こころ)に向ける。

               銃弾音が響く                 

ありがとう・・・。

貴方の手で殺してくれて。

ありがとう・・・・。

最後のお願いを聞いてくれて・・・。

ありがとう・・・・ありがとう・・・・・。

「( )・・・」

そんな悲しい声で私を呼ばないで。

私は今とても幸せなのだから。

愛してるよ・・・・・今も、これからも永久に・・・。



      貴方に殺されるのならば、私は世界一の幸せ者だ。

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