短編夢

□「欲しい言葉」
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今日は綺麗な青空。

気分転換に散歩でもしてみようかな?

私は長く黒い自分の髪をゴムで結び

家を出た。

でも・・・後々後悔した。

外なんかに・・・出なきゃよかった・・・・。





攘夷戦争で負けて、町を天人が歩いている。

私も戦争の参加者。

戦争の生き残り。

あの時は皆が居たから苦しくなかった。

貴方が居たから寂しくなかった。

今の私には何も無い。

何も残されていない。

私はとある建物の前で立ち止まる。

「万事屋・・・銀ちゃん・・?」

銀ちゃん・・・。

まさかと思いその前を歩き去ろうと足を進める。

その時、私の耳に愛しい声が聞こえた。

ゆっくり・・ゆっくり振りかえる。

先程の建物の玄関に立っている一人の男性。

腰に木刀をさし、銀色の天然パーマ。

紛れも無い、銀時だ・・・。

声をかけようと思ったが、

自分から立ち切ったのに声をかけるのは、みっともない気がした。

そのまま再び前を向き

歩き始める。




「・・・美里?」

心臓が跳ねあがった気がした。

私はそのまま走り出した。


追いかけてこないで。
      辛くなるから。

追いかけてこないで。
      悲しくなるから。

追いかけてこないで。
      愛しくなるから。


「美里!」

私は腕を掴まれた。

振り向くな。

銀さんの顔を見るな。

顔をあげるな。

何も喋るな。


もう・・・コレ以上私を・・・・


く  る  し  め  な  い  で ・・・・・。

「美里。こっち向けよ」

「・・・放して。」

「美里。」

「呼ぶな!!」

「っ!」

「お願いだから・・銀さん・・。」

ゆっくり銀さんの手が放れる。

少し名残惜しい・・・。

久しぶりに会ったのに・・・。

こんな態度しかできない私を

許してね?

「美里・・・俺は今でもお前の事好きだから」

私の何かが・・・・

崩れて行った・・・・・。

私が涙脆いの知ってるくせに・・。

ズルイよ銀さん。

「美里・・泣いてんのか?」

「っ・・・!煩いっ・・!」

「悪かったな。泣くほど嫌だったか?」

違う・・・。

違うのに・・・。

反対の言葉しか・・口に出せない。

「嫌いだよ・・銀さんなんか大嫌い・・・。」

気がつくとあんなに晴れていたのが
嘘のように

空からは雨が

降っていた・・・・。

「っ!嫌い・・なのにっ・・何で?何で・・銀さんの傍は・・・安心できるの??っ・・銀さんが・・居ないと・・何で怖いの??」

「美里!?」

「大嫌いだよ・・銀さんなんか・・。だから・・・傍に居てよ。
一人は怖いの・・・。銀さん」

「居るから・・傍に・・。」
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