NOVEL
□1st(フィンフェイ)
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いつからか
自分よりも小さくて、ほとんど表情を変えず、他人を寄せ付けない冷たさと残酷さを持ちあわせた彼の事が気になるようになったのは…確かにその辺の男に比べたら華奢だし、顔も可愛いのかもしれない…しかし、彼の何が自分をこんなにも引き付けるのだろうか……
「何ね?」
「いや、何でもねぇ。」
今は仕事の最中。
とある富豪の屋敷から、古い書籍を盗むといういたって簡単な仕事のため、フィンクスとフェイタンの二人だけである。
盗みおえ、アジトに戻る途中だ。
「嘘ね、さきから何見てる?」
フェイタンは走っていた足を止め、フィンクスに問う。
久しぶりに二人だけということもあり、ついフェイタンの事をじっと見てしまっていたため、フィンクスも足を止めた。
「あ……いや、なんつーか久しぶりに二人だけだったから。」
歯切れの悪い返事をしたフィンクスに、これ以上突っ込んで聞く気がない様で、無言のまま、また走りだした。
まさか、何でお前の事が気になるのか、いや、好きなんだろうが、その理由を考えているなどとは口が裂けても言えないフィンクスもまた、フェイタンの後を追っていった。
ポツポツポツ……
ザァ−−
後20キロぐらいで団長の待っているアジトまで着こうかという所で、土砂降りの雨が降ってきた。