Fgo

□悪戯の行く先
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「さて」

ベッドが軋む音がする。

「どんな事したか、教えて貰おうか」

事の始まりは『鳴鳳荘殺人事件事件』の―――以下略。
薬入りチョコレートを誤って食べたクー・フーリンに対し、寝ている隙に悪戯をしたのがバレてしまった。しかも勘の良いことに、それが性的なものだと気付かれていて絶体絶命。

「……し、ししし知らない」
「……その口はまだシラ切るつもりかよ。そんなんじゃ長生き出来ねぇぞ」
「長生き!?殺す気!!?」

ベッドに押し倒されて足を割られて、その間に入られればもう逃げ場なんて無い。それでも悪戯の内容を具体的に語るなんてこと、出来そうになかった。

「お、何だ。このままヤり殺されたいって?」
「ーーー!!!」
「上の口が強情なら、下の口に聞くしかねぇだろ?」

こういう時は元々の槍使いらしい筋肉バカ加減が窺える。(今は違うが)槍使いにヤり殺される、なんて黙れ自分。
そんなこんなで脳内攻防戦を繰り広げている間に、クー・フーリンは物理的拘束に掛かってきた。あれだけ苦労して、不恰好かも知れなかったが必死に戻した彼の腰紐。それがあっと言う間に手首に巻き付いた。

「わ、っ……!!」
「ま、俺はわざと寝かせてやるような事はしねぇよ。反応無いとつまんねぇしな」
「だからって拘束もあんまりなんじゃ……」
「ん?寝かせてヤっていいってのか?」
「…………勘弁してください」

ああ、ヤる事は確定してる。
半ば諦めたが、悲しいかな躰は彼に抱かれたがっている気がしていた。
最愛のサーヴァント、キャスターのクー・フーリン。
純潔を散らされ、貪られ、『女』に仕立てあげられた相手。

「で、でも解ってる?」
「あ?」
「………こんなこと………クーが……他の人にしたら嫌だからね……?」
「お前なぁ」

ぱちんっ。
弱めのデコピンが飛んできた。弱めとはいえ相手は英霊だ。痛い。

「痛っ!!」
「お前が泣くのが解ってて、誰がするか」
「…………そりゃ泣くけど……」
「俺が信じられないってんなら、俺が離れて行かないように努力するんだな。あんまりそんな事ばっか言ってっと、本当に―――」
「………。」
「………あー」

見る間に萎れる私を前に、ばつの悪い顔で頭を掻くクー・フーリン。言葉の続きが言われる事はなかった。
色を好む性は知っている。確かに最初はショックだったが、生きていた時代は二千年も違うのだ。当時は当たり前だった好色を、今の価値観で『受け入れられない』と突っぱねるのは互いに良くない話で。

「………そんなに俺は信用無ぇかよ」
「………………。うん」
「言ったな?よし言ったな?覚悟出来てんだろうな」

クー・フーリンの大きな掌が、極自然な動きで不自然に内腿を伝った。

「っ、あ……!!」
「……う、わ……お前、こんなに濡らしてたのかよ」

下着を横に避けて指を滑り込ませただけで、こちらにも聞こえるほどの粘性の音。わざとらしく蜜口で指を跳ねさせる度に、音とともに体が揺れる。

「っや、ぁ………んっ、だ、め……」
「駄目?こんだけ濡れててか?」

シャワーは浴びた。後処理もした。だからこれはーーーたぶん、私一人の欲の蜜。昼間あれだけはしたないことをしておいて、躰はまだこの男と繋がりたがっていた。
蜜口を弄る指は暫く止めて貰えなくて、クー・フーリンが満足するまで音を立てられ、とろりと糸引く掌を見せ付けられた。

「……随分と淫乱になったモンだなぁ、未那チャン?」
「………だれの、せいよ……!」
「さて?誰のせいかねぇ。こないだまで処女だったのが、あっという間にナカでイく事を覚えたのは」
「っ〜〜……!!」
「今日は何回が良い?三回?四回か?」
「そ、っ……んな、無理ぃ……」

濡れた指は、再び蜜口に辿り着く。ずらされた下着を避けて、襞を掻き分け内部に侵入した。感じる異物感から、指の数は一本。

「は、んっ、……や、だ……」
「本当に『嫌』か、聞いてやろうじゃねぇか」

手加減のつもりなんだろうが、一本でもクー・フーリンの指は恐ろしく巧みだった。何度蕩けさせられ喘がされたか解らない。躰の相性というものがあるのなら、私にとってはクー・フーリンという存在そのものが弱点なのだろう。

「っひぁ、ぅんっ!あ、ぁああんっ!」

ただ内襞を擦られて圧迫されるだけで体が震え、あられもない声が出てしまう。
指の動きひとつひとつが、腰を内側から溶かしていくような感覚。熱くて、擽ったくて、それ以上に奧を支配するような強い痺れが、指の動きに合わせて波紋のように広がっていく。
水音が激しさを増した。躾けられた躰は、意思とは裏腹にあっけなく簡単に屈服する。

「―――っはん、や、ぅ、ん―――!!」

指を締め付け、吸精の動きを襞が繰り返す。
体が震えて硬直し、景色が白んでいくなかで、嗜虐の笑みを浮かべたクー・フーリンがこちらを見ていた。

「おーおー……、また一人で気持ちよくなっちゃってまぁ」

力が入らない。息が荒い。クー・フーリンの煽りに返せる憎まれ口が思い付かない。

「………あー、駄目だなこりゃ」

一回達したというのに、指は引き抜かれなかった。

「………、……えぇ………?」
「お前、締め付け過ぎ。これじゃー指抜けねぇなー」
「………ぇええ……?」

そんな馬鹿な、とは思った。けれど、霞む視界と白む頭ではそれに対する反論を口に上らせることができなかった。

「っひ、んっ……!?」
「あー、駄目だなー。暫くこのまんまだぜー」

高い声が上がったのは、再び蜜口近くの襞を擦り上げられたから。
溢れそうなほどの蜜が掻き回される音。動きも先ほどよりずっと早く、圧迫感も増えた気がした。ーーー指、増えてる?

「ぃ、やっ……!も、だめぇっ……!抜いてぇ……!!」
「それが抜けないんだっての。おかしいよなぁ?」
「嘘つきぃっ!!」

半ば悲鳴のような声しか上がらない。さっき絶頂まで上り詰めた躰に、再びじわじわと情欲の熱が広がっていく。その躰の反応に心がついていかなくて、ただ喘ぐだけ。
逃げたくても手首の腰紐は解けない。

「ふぁ、やぁっ……やだ、やぁ、またっ……」
「ーーー『また』、?」

理性が、溶け出す。

「っーーーまたっ……いく……っ!……いっちゃ、っ……!!」

尚も拘束された腕をなんとかしようと抵抗していると頭の上に引き上げられ、クー・フーリンの唇が近付いた。

「ーーーイケよ」

低い、囁くような声を、耳許で。

「俺しか見てない。聞いてもない。……俺の前でしかイクんじゃねぇぞ」
「っーーー!!」

その声に煽られて、下腹部が更に疼く。途切れる事のない指の動きに、絶頂の波が再び押し寄せる。
顔を隠したくても腕の拘束はやはり解けない。頭の上に引き上げられた腕は、そのままクー・フーリンが固定していた。

「っは、やっ、―――ん、んんんっ……!!!」

声を殺すのが精一杯だった。


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