嘘吐遊戯
□冬の日、
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12月25日 土曜日
AM8:00
「…んーっ……よく寝たぁ………」
ベッドの上で伸びをする。
昨日はあの後、秋山さんが家まで送ってくれた。
「キレイだったなぁ、あのツリー……」
そして今日は、クリスマスパーティーに呼ばれている。メンバーはファイナルのみんな。
久しぶりに会うなぁ…みんな元気かな?
「……えーと、何か来てるかな…」
いつもの習慣で、玄関まで行ってポストを開ける。
「……ん?」
封筒が一通、入っていた。
宛名も差出人も書かれてない、真っ白な封筒。
「真っ黒じゃなくてよかった…」
でもやっぱり少し怖かったから、日の光に透かしてみた。
「………なんだろう、これ」
カギ…見たいなモノが入っているように見えた。
ぺりぺりぺり
中身を取り出してみると、やっぱりそれはカギで、最寄り駅のコインロッカーのものだった。
行けってことかな…?
同日
PM3:00
「えっと…023番…あ、ここだ」
ちょうど自分の目線と同じ高さにその番号のロッカーはあって、探すのに苦労はしなかった。
「……開けて、大丈夫かな…」
何が入ってるかわかんないし…。
「でもカギは確かにここの……」
……よし。開けよう。
がちゃり かぱっ
「……へ?」
中には、小さなサンタクロースの人形が置かれていた。両手の間にカードが乗っていて、
"Mery Christmas!"
と、流暢な手書きの筆記体で書かれていた。
…コレって、昨日行ったお店に売ってたヤツ……ってことは、秋山さん?
「もう!からかってるんですか?」
サンタクロースをいつまで信じていたかで小馬鹿にされたことを思い出して、つい小さく不満がもれた。
それにしても、いつの間に買ったんだろう……。
……あれ、なんか背中の袋に入ってる?
私も昨日、この人形は手に取った。
見た目にも少し大きいような気がして、袋を開けて、指を入れてみた。
綿の感じ。わたわたわたわた………わた?
「何コレ…?」
硬いものに指が触れた。
不思議なことにそれは、指一本でうまく取り出せた。
その理由は、すぐにわかった。
「………指輪……!?」
人差し指にひっかかって出てきたのは、この上なくシンプルなシルバーの指輪。
他には何も入ってない。
あわてて、さっきのカードをひっくり返す。
"今日、好きな指にはめてきて"
「な、なんですかそれ……!!」