嘘吐遊戯

□incantation
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真っ暗な玄関。

「…………あ、の」

帰ろうとした彼を、何故だか引き留めたのは、確かに私。

でも、抱きすくめられて自由を奪われてるのも、私。

「秋山…さ、ん」
「…………直…」

呼ばれる名前は、特別。

腕に力が込められたと思ったら、耳元で囁かれた。


「お前のことなんか、大嫌い」


掠れた声に、どきっ と心臓が跳ねた。

その言葉は見えない鎖のように、私をみるみる縛っていく。

「あ……きやま、…さん」

こんなことしなくても…私には選択肢なんか、無いんですよ?
もう離れられないんです、私。



だってあなたは、本気で"嫌い"って言わないから。



「………っ!」
「…………」

突然、口をふさがれる。
抗えないし、するだけ無駄だってわかってる。

もっと酷く、強く、"嫌い"って言ってくれればいいのに…あなたは優しく、消え入るくらい弱く、"嫌い"って言う。


そこに込められた意味がわからないほど、バカじゃない。


「……、…大丈夫か?」
「は、…い」

その心配そうな声は、どこか満足げでもあって…優越感も混じっていた。



お前は、オレだけのもの



そう、宣言されているようで。
それが、嬉しくて。


「私も、秋山さんが好きです」


気づくと、誓いを口走っている。

だって私は、確かにあなただけのもの。

あなた以外のものに、


なる気は、無いから。




嫌いの後ろに好きが見える
 
嘘つきとつきあうのに慣れて
慣れすぎて抜け出せなくなる





(誰に何を言われても、気になんかしません)






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ナニコレー/(^o^)\

2010.08.04.up

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