嘘吐遊戯

□incantation
1ページ/2ページ


「いい天気でよかったですね!」
「そうだな」

オレの左手を握って、心底嬉しそうに…それこそきらきらと、直は笑った。

「あとは、あっちのお店に用があるんですけど」
「わかったわかった」

振り回されてる。完全に。

「しっかし元気だな、お前」
「秋山さんが元気にしてくれます」
「なに言ってんだ」

きっと知らないだろうが、オレはお前には逆らえないんだ。

「秋山さんといると、すごく楽しいんです」

オレは一生、お前の隣にいなきゃならない。
離れる事なんて、できない。



そんなこと許されない。



「秋山さんは楽しくないんですか?」
「まぁ、楽しくなくはない」
「…それって、素直に"楽しい"じゃダメなんですか?」

お前にはわからない。
オレに自由なんか無い。
目隠しされて、縛り付けられてるんだ。
釈放されたあの日から、ずっと。


"神崎 直"に。


だから、お前から離れていってくれなくちゃ、オレは自由になれない。

……そして、

お前は離れる気は無いだろうし、
オレも…この手を離す気は無い。

自由なんかいらないんだ。

そんなものに微塵も価値はない。



「お前が楽しければ、それでいいよ」



お前だけでいい。

お前以外はもう、


誰も何も、いらない。




右手にを、左手に
 
右手の冷たさが苦しくて
左手の温もりが狂わせる





(取り憑かれてる、って言われるかもな)






******
ある種の被害妄想…?
タイトルを思いついて走り書き(愚

2010.08.03.up

次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ