嘘吐遊戯
□あかとあお
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「…唐突だな」
秋山さんは、いつもの格好で私の右を歩きながら、私の方を見もしないで言った。
「さっき、そういう話をしてたんです。"運命の出逢い"って信じますか?」
「ふーん……運命ね…」
悩んでもいないような声。
「………結構真剣に訊いてるんですけど…」
「……………」
私の顔をちらっと見てから、また前を向いた秋山さんは、少し眉間にしわを寄せた。
「……………」
「…秋山さん?」
「……オレに言わせれば」
「はい?」
「そんなもの言い訳だ」
「は…………」
だいぶロマンのない返事が…いやまぁ予想はしてたけど、なんだかヘコむなー。
「…じゃぁ訊くがな」
しょげた私を見て、秋山さんが呆れたように言った。
「お前はオレとどうして一緒にいる?」
「え、それは………」
「…まぁ、あのゲームは多少アレかもしれないが…お前は誰かに強制されて、オレと一緒にいるワケじゃない。残念なことに、お前自身の意志だ」
「それは、そうです」
「だから、そういうことだ」
「はえ?」
む…難しすぎるんですけど…。
「つまり、生き方を間違えたヤツの言い訳なんだよ」
「……それは、そうかもしれないですけど」
「…"青い鳥症候群"って知ってるか?」
「そんなのあるんですか?」
「理想を求めて転職を繰り返したり、なかなか結婚しなかったり、そういう事を言う」
「へぇ……」
生き方を間違えた人の言い訳…かぁ。
秋山さんの言ってることは、正しいと思う。
「でも、私は信じます。"赤い糸"も"青い鳥"も。…私も、これからは言い訳に使いますね」
「…ほぉ」
先ほどよりは興味を持ったような声色に、思ったことをぶつけた。
「幸せすぎて怖くないように、全部それのせいにします」
…………。
「…好きにしろ」
「好きにしますっ」
赤い糸に青い鳥がとまる
赤い糸で結ばれた恋人同士に
青い鳥が幸せを運ぶ、なんて
(怖いくらい幸せです。でも、夢だと思いたくもないので)
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10個に1個あるかないかの出来(笑
結局青い鳥は逃げていってしまうそうです。でもこのふたりなら関係ないと思う。
2010.07.21.up