嘘吐遊戯

□weak point
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………。

「……秋山さん」

……………。

「………秋山さーん?」
「……………」
「……秋山さんっ!」
「…五月蝿いな」
「うるさいって……すいません」

本を読んでる横で呼ばれる名前を、一蹴した。
突然押しかけてこられたが、もうさほど驚きはしない。

「……………」
「……………」

ソファで隣り合って座っているが、会話もせずにひたすら無視を決め込んでいた。

「…………」
「………あきやまさーん…」

情けない声と一緒に、少し、突き刺さる視線が飛んできた。
……やっぱり、この前約束を破ったのを、まだ怒ってんな…。

「……なぁ、お前さ」
「はい?」
「割と根に持つタイプ?」
「…へっ?」
「あどけない顔して睨まないでくれ。…逆に怖い」

わざと相容れないような表現を並べた。

「に、にらんでなんかいません!」
「無自覚か、なお悪い」
「わる……!?」
「謝ってるだろ、この前のことは」
「だから、にらんでなんか……きゃっ」
「機嫌直してよ」
「う〜……」

知ってるんだ、お前の弱点。
髪をくしゃくしゃってして、笑ってやれば、

「む〜っ」
「そんなにむくれるなよ」
「…………」

オレが狡い人間で…お前は優しい人間だから、誤魔化せる。

「今度、どこか連れて行ってくださいねっ?」
「わかったわかった」




選択式*724番
くしゃり、と髪をつかむ仕草
お題提供:確かに恋だった



(怒りもくしゃくしゃにして、投げ捨ててやる)




******
秋山さんサイドでした。
内心は困り果ててます秋山さん(笑

2011.01.13.up

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