仮想空間

□如月乃十日余四日
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2月14日―

チョコレートがそこら中で手渡しされ、あるいは机の中に入れられていく。
そんな2月14日の"記録"を、今年も塗り替えるだろうと噂されている生徒がいた。

「生徒会長!新聞部の紅乃(演:くのいち)です!今現在、今年は何個のチョコレートを!?」
「ゼロだ」
「またまた!我々新聞部が総力を挙げて、校内随所でしっかりカウントしてますよ!!
ただ受け取っていないだけで、実質もうすでに…」
「邪魔だ、うっとうしい」
「ああっ、石田生徒会長ぉ!」

2年前に入学してから、2月14日の"記録"…すなわち、「貰ったチョコレートの数」の記録を、更新し続けている。
「破るのは不可能」と言われていた、7年前に卒業した明智生徒会長の記録をあっさりと塗り替えた男。


それが、現在の生徒会長である。


「まったく…五月蝿くて適わん」
「お疲れだな。毎年毎年、ご苦労なことだ」
「お前は今年も、なにも無しか」
「ふん…」

会長が生徒会室に逃げ込むと、そこにはムスッとした副会長と、役員達がいた。
この副会長…1年生でありながら異例の立候補、そして見事に当選を果たした、異例ずくめの生徒。

そして、1年で彼が最も嫌いな日が、2月14日である。

「副会長も、少しは愛想よくしていれば…」
「うるさい!そう言う貴様は…」
「幸村は三成が卒業さえすれば、トップになるだろう。なぁ?」

ガラガラと扉を開け、第3年学年の学級委員長が入ってきながら言った。
大量の箱をかかえて。

「なんじゃ!貴様も冷やかしに来たのか!」
「落ち着け政宗。これは全て、三成と幸村宛てだ」
「な…!」

それを聞いた副会長は、突然立ち上がった。

「どこへ行く?」
「トイレだ!」

ガラガラ、バシッ!
彼は扉を壊す勢いで開け、閉めていった。

「…なぜそう、毎年受け取ってくるのだ兼続…」
「仕方ないだろう。頼まれ事を断るのは、私の義に反する」

胸を張って言う委員長。そして、思い出したように言う。

「そうだ、幸村。新聞部がお前も追いかけているぞ。『来年の主役を今からマーク』するそうだ」
「…そうですか、それは…」
「頑張ることだ…」

ぽん、と生徒会長が肩を叩いた。
とたん、扉を乱暴に開けて、誰かが入ってきた。

「…誰だ?」
「あの!あたしその、あの、副会長はどこに…」
「……む?」

トイレから戻った副会長が、彼女の後ろに現れた。

「何か用か」
「あっ、えっ、と、あの」
「?」
「――っこれ!どうぞ!!」


(((政宗にチョコレート!?)))


当事者たち以外の心の叫びが、生徒会室に響き渡った。

「…あ、りがとう…」
「っじゃあ!失礼します!!」



「よかったな政宗。これで、黒歴史に幕だな」
「………………」
「どうした?嬉しさで声も出ないか」
「いや……なんというか」
「なんだ?」


「……貰ったはいいが、返すのが面倒だな」


(((なんなんだよ…!)))




次回!

 ドキドキ☆3月14日!
 副会長のホワイトデー!

へ、続きません!!






******
久しぶりの更新が学パロですいません(ω;) でも友人と約束したので!書きました!晒しました!!
ここまでノープランで書いたことはなかった。無かった…!
結構書いてて楽しかったですけど多分もうやりませんw

あ、三成押しなのは公式人気投票の結果を受けてですよ。
三成の前の伝説が光秀なのは「あの世代で一番貰いそうだなぁ」って私が勝手に思ったからです、まる。


2012.02.14.up

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