仮想空間
□百花繚乱
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「綺麗に咲いたな、ねね!」
「そうだねぇ、お前さま」
月が、綺麗に桜を照らしていた。
「みんなで見たかったねー」
「まぁ、ふたりっきりもいいじゃろ!」
うちの人は、お猪口のお酒をぐっと飲み干す。
三成はお花見から帰ってきたと思ったら仕事、清正は今は九州。正則は、下で酔い潰れちゃっている。
「しっかし、本当に見事なもんじゃなぁ」
「少し、花が多く感じるね」
「そうじゃのぅ。木は増やしてないんじゃが」
今年の桜は本当に見事に咲き揃った。
全ての木が、一斉に花を開かせていた。
「月をさえぎる雲も無いし、しかも満月じゃ。最高の日和じゃな。…このまま、時が進むのを止めておきたいのぉ」
「あはは、そうだねぇ」
不意に、風が吹いて、花びらを少し散らせていく。
その花びらがくるくると舞うのが月明かりに映えて、また綺麗。
「誰か、この風景をこう…切り取ることはできんのかのぅ」
「うーん、どうなんだろうねぇ…」
桜の絵は、いくらでも描くことができる。
それはそれで味があるけれど、目で見ているものほど綺麗な桜は無い。
「………ま、それじゃぁ面白みが無くなるか!」
「お前さま?」
風に舞った花びらが、お猪口の酒の上に落ちた。
「花見はこうやって、ぼーっと見とるのがええ。酒と、美味い肴を食べながらな」
「ふふ、そうだね」
「来年も、また見事に咲いたらええのぉ」
「きっと咲くよ、お前さま」
「ねねがそう言うと、本当にそうなりそうじゃ。不思議じゃな」
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三段目、初の豊臣夫婦。
感じが掴めてないのがモロバレですね!すみません。でも書きたかったんです。じゃないと4段にならないし。
流石にこの流れで織田夫婦や浅井夫婦は…。
豊臣夫妻は、ひたすらのほほ〜んとしてればそれでいいと思う。平和です、浮気さえしなければ(笑