仮想空間

□新参者
2ページ/2ページ


その知らせをもらった時は陽が南にあったのに、今はもう、沈みかけている。

盤上には、40枚の駒が規則正しく並んでいる。

その自陣から王を取り、金を一枚取り、残った金も取った。

秀吉様が亡くなり、
利家殿もいなくなり、



……三成が、処刑された。



「…結局お前には、両の手で数えられるほどしか勝てなかったな」

勝ち逃げしやがって、と思うたびに、少しの後悔ともいえるような感情がわいてくる。

これでよかったのか?
俺が守りたかったのはなんだ?

あいつは夢想家だったが、猪突猛進な馬鹿ではなかった。
あいつが豊臣を想っていたのは、よくわかっている。

俺が守りたかったのは…"俺たち"の未来だったはずなのに、お前はいない。


だが俺に、感傷に浸るような暇は無い。
次は俺の番だ。


「…俺が守ってみせる」

お前が独りで背負おうとした豊臣を、今度は俺が背負う。

「見てろよ、――……」





******
短くまとまりました。
ちなみに、今のような将棋になったのは400年ほど前の事らしいので、戦国時代がそうだったかは微妙です。

2011.02.04.up


前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ