嘘吐遊戯
□流星群の夜
1ﾍﾟｰｼﾞ/2ﾍﾟｰｼﾞ
｢あっ、流れましたよ！｣
｢あぁ｣
ある河川敷。
草の上に足を投げ出して、オレ達は夜空を見上げていた。
ペルセウス座流星群。
夏休みと時期が重なるにも関わらず、大々的に取り上げられることは少なめだ。
そんなわけで、その名前を直から聞いたときは、少し驚いた。
｢どこで調べたんだ、ペルセウス流星群なんて｣
"天文学やってる友達に聞きました！"
｢……お前から訊いたのか｣
"いいえ、向こうがいきなりメールしてきたんです"
｢……………｣
カミサマという奴は、ずいぶんと人をいじめるのが好きらしい。
｢あっ、ほら！またです！｣
｢…願い事はいいのか？｣
｢ぁああっ！つ、次から頑張りますっ｣
目をキラキラさせながら夜空を見上げる直。
｢………ガキめ｣
｢…なにか言いました？｣
｢いいや｣
｢絶対なにか……は｣
｢ん？｣
突然、言葉が途切れた。
｢どうし………｣
｢………っくしゅん！｣
…くしゃみ、か。
そういえば…今日はなぜか、夜になったとたん気温がぐっとさがった。
最近は熱帯夜続きだったんだがな…なんだってまた。
｢少し冷えてきたか？｣
｢はい……くしゅっ｣
｢ったく……｣
…………よっ、と。
｢………あの｣
｢…暖かいだろ｣
｢は…はい……ありがとうございます｣
後ろから、直を抱きしめた。
｢…何を願うつもりだったんだ？｣
｢あ…えっと｣
｢うん｣
｢……ずっと、秋山さんとこうしていられますようにって…｣
言っていくうちに、声は小さく、顔は真っ赤になっていく。
｢ふーん…｣
｢あ、あの……秋山さんは、お願い、しないんですか？｣
｢オレは、いいや｣
ぐっ と腕に力を込めて、いっそう直を引き寄せた。
｢その代わり、お前がきいてよ｣
｢なにをですか？｣
｢オレの願い事｣
顔の真横で話す格好になる。
｢で、叶えて｣
｢…内容によります｣
｢…随分、懸命な返事だな｣
｢それで、どんなお願いですか？｣
｢うん｣
…少し、深呼吸をした。
｢退屈なんだ、オレ｣
｢…はぁ………｣
｢だから、いい加減やめたいんだ、この関係｣