嘘吐遊戯

□全てが敵でも
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ピリリリ

ピリリ…ピッ


「…もしもし」
"……………"
「…どうした?」
"…………"
「おい……直、だろ?」

ケータイは、"神崎 直"からの着信を告げていた。
だからってワケじゃないが…電話が鳴っていれば、出る。

問題は…出たが、向こうから返事がないことだ。

「おい、なんの用だ?」
"……………"
「……聞いてるのか?」
"…………あ、"
「ん?」

"あきやま…さん……っ"

ようやく聞こえた相手の声に、背筋が凍った。


……泣いて、る…。


「おい、どうしたんだよ」
"あ、の……"
「あぁ」
"…ちょっと……来てもらえますか…?"
「今から…?」
壁に掛かった時計を見た。
午後10時。ギリギリ終電で帰ってこられる、か…?
"………あの…無理なら「行く。待ってろ」
直の震えた声を遮って、通話を切った。




……………‥・




「ふぅ…」
直の部屋の前。なにがあったのかなにも掴めないからか、無駄に脈拍が早い。

コン

ドアをノックする。3回する予定だったが、


ガチャンッ

「秋山さんっ!」

「お……?」
1回で、直が出て来た。ドアに背中をつけて座っていたらしい。
「秋山……さん………っ」
「なんだよ、どうしたんだよ」
オレのシャツを掴んで、ひたすら泣きじゃくる直。
体はがくがく震えて…明らかに、なにかにおびえていた。
「泣いてちゃわからないだろ」
「す…いません……」
そう言いながら、離れる気配はない。
「………とりあえず、中に入れてもらえるか」
「は……はい、どうぞ」
やっと、離れた。ぽろぽろ、涙がこぼれている。

そんな直に導かれるまま、部屋に入った。
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