薔薇色の夢

□今日、桜が咲く日に…
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距離が縮まった夏はあっという間に過ぎ、次にやってきた、秋…。

遥と出会ってもう、二つの季節が過ぎて行き、時が経つのは早いと思った。


遥も私も改めて分かる事が沢山あり、一日一日が満足して過ぎていく。


今日は遥の何が分かるのかな…と思いながら、半日を過ごした。

――――――――――――――


夕方になり、ふと窓から外を見れば道行く人が、浴衣等を着ている。

「(あれ?今日って何かあったけ…?)」

道行く人を見ながら考える。今日は…

「(今日は月見祭だ!!)」

月見祭とはその名の通り、お月見の時にやる祭のことで、毎年大変賑わう。私は遥を連れて祭に行こうと考え、早速メールを送った。


暫くすると返事が返って来て、返事の内容は"行こう"との文面だった。

自然と頬が綻ぶ中、無意識に遥の浴衣姿を想像し、一人で恥ずかしがってたり、どの浴衣がいいか選んだりしていたら、あっという間に待ち合わせの時間となり、浴衣姿の遥と居合わせた。

遥の浴衣は淡い栗色のシンプルなデザインで、より"遥"という人物を引き立たせる。
一方の私は白い浴衣の袖や裾辺りに、赤い金魚と黒い金魚が優雅に泳いでいる、少し派手目な浴衣だ。

初めて見る遥の浴衣姿につい見とれてしまい、目が合った時はお互いに照れてしまう。


二人で歩きながら、やはり付き合うにおいて、ここで手を繋ぐべきかと一人で考えていると、手に暖かい感触を覚えた。


暖かい感触がした手を見ると、私の手に遥の手が重なっていた。慌てて遥を見ると、真っ赤にしてる顔が髪の間から見て取れた。

そんな遥を見ていた私は、手を優しく握り返し、肩に頭を預ける。
自分では大胆かな?と思ったが、夏の頃よりは…と思い、そのままの体制で歩く。その間は無言で歩いた。喋らなくてもいいような雰囲気が二人を包んでいたから。

お互いに履いた草履がカラコロと響く中、神社の鳥居が見え、あぁ…この時が終わってしまうのかと思ったら何だか切なくなった。
遥もそう思ったらしく、握る手が強くなる。
遥から頭を離し、手を繋いだまま笑顔で「帰りも手…繋ごうね。」と言ったら、微笑み返してくれた。きっと良いよの返事なのだろう。

そんな風に解釈しながら二人で歩いていたら、祭が行われてる神社に着いた。
やはり大勢の客で賑わっており、下手したら迷子になりそうだった。

でも迷子にならない自信が私にはあった。

遥が手を繋いでくれるから…。


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