氷帝学園





 「お疲れ様でしたー!!!」





 跡部「あぁ。」




 

  さて、帰るか。



 そう思いながら歩き始める跡部



 

 跡部「たまには歩いて帰るのも悪くねーな。」




 
 少し歩いて行くと向こうから女が走ってくる。





 跡部(汚ねぇ格好だな....)



 
 靴も履かないで真っ黒になった足で必死に走ってくる女。




 女「助けて!!!」




 そう言うと俺の肩をつかむ





 跡部「何言ってんだお前」




 いきなりのことで俺は少し驚くがすぐにいつもの冷静な顔に戻る



 
 女「お願いです!!私を助けてください!!」



 
 何言ってんだコイツ。




 そんな事を思っていると向こうから男数人が走ってくるのが見える




 男「そいつを捕まえろ!!!!」


 




 跡部「.....追われてるのか?」




 そう聞くと女はコクリと頷く




 
 何で追われているのか分からなかったが俺はコイツの腕を掴み走り出した 

 

 少し走ると男達は見えなくなりコイツになぜ追われていたのかを聞く
 



 「なんでお前追われてんだ?」

 

 「...私...親に捨てられて家もなくて...公園で住んでたらあの人達が「店で働かないか?」って....でもその店大人の....店で、逃げてきたの..」


 途切れ途切れに話すコイツを見て言う


 「今行くところもねーのか?」


 「..えっ?はぃ...」


 「じゃぁ俺様の家に住みな。」


 
 俺の言葉を聞いたコイツは信じられないと言わんばかりにその大きな目を2、3回パチクリさせ言う




 女「いいんですか...?私なんか...」




跡部「どうせ行く所もねーんだろ?」



 
 女はありがとうございますと言いながらまた泣いた






 跡部「じゃぁ行くぞ。」










 二十分くらい歩くと跡部の家が見えてくる






 跡部「ここだ。入れ」




 
 女は俺の家の門の前で目を見開き口を開けながら見ている




 そんなに珍しいかこの家が...?




 
 女「....ここあなたの家?」



 不思議そうに聞いてくる





 跡部「あーん?それ以外に何がある?」





 俺はそう言うとこの女の手を引っ張りながら門を開け、中に入っていく




 
 
 跡部「ここが俺の家だ。」





 俺がそう言うと女はあたりをじろじろ見ながら言う





 女「うわぁ!お城みたい。本当に私なんかここにいてもいいんですか?」




 跡部「あ?当たり前だ。お前はここに住むんだよ」



 
 まぁコイツがここに住んでも住まねーでもかわりはねーし





 



 跡部「俺の部屋に入るぞ。」




 そして二人は部屋の中に入る



 

 跡部「お前まず風呂入ってこい。そんな真っ黒じゃ俺様の部屋が真っ黒になっちまう。」




 俺はメイドにこの女を引き渡した



 この女は汚い格好をしているが顔はそこそこ美人な顔をしている



 

 制服を脱ぎ、私服に着替える




 一時間たつとコンコンっとドアを叩く音が聞こえる




 跡部「入れ。」




 ドアが開くと風呂から上がった女が立っていた




 跡部「綺麗になったじゃねーか」



 女「ありがとうございます。」




 跡部「敬語はやめろ。あとお前、名前は?」




 女「私の名前....紗夜」(さや)




 跡部「紗夜か。名字は?」



 
 紗夜「覚えてない...」




 跡部「お前の名字はこれからは跡部だ。いいな。」




 紗夜「あとべ?」




 俺は不思議そうに聞く紗夜を見ながら




 跡部「そうだ。俺の名前は跡部景吾。お前もこの家に住むんだったら跡部でいいだろ?」




 紗夜「はいっ。」





 跡部「良い返事だ。...にしても、お前髪の毛長すぎるだろ..」




 後ろ髪も前髪も膝まである紗夜の髪を見て言う




 「お金なかったから..」



 「フッ。これからはこの俺様の家に住むんだ。金なんか心配する必要ない。」



 俺は一流の美容師を呼びすぐに髪を切ってもらうように手配した




 


 美容師「わぁ綺麗ね。クシでとけばこんなに綺麗!!」




 そう言いながら美容師は髪を切っていく




 美容師「できた!!」




 前髪はすっと斜めに綺麗に分けられ、後ろ髪と横髪は肩くらいに切られているそしてパーマもかかっている




 跡部「なかなかいいんじゃねーか?」





 俺がそう言うと真っ赤な顔をして小さな声でありがとうって言うコイツを見て少し可愛いなどと思ってしまう





 


 




 跡部の部屋ー






 跡部「そろそろ寝るか。」




 
 俺がそう言うと紗夜はドアを開けどこかに行こうとする





 跡部「何処行くんだ?」




 紗夜「え?外だよ寝に行くの」




 何言ってやがるこいつ






 跡部「お前はここの家の人間だ。お前もここに寝るんだよ!!」



 そう言って自分の入っている布団をたたく





 紗夜「うん/////ありがとっ////」




 紗夜が布団に入る





 跡部「お前何歳だ?」



 紗夜「16歳」



 跡部「俺と同い年だな。」



 紗夜「一緒だねっ。」




 笑って言うこいつは信じられないほどの笑顔を俺に見せる




 会ってまだ一日もたっていないコイツに俺は恋をしたというのか?












 
 


 「気づくとそれは恋だった」       end〜  
 

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