【軌跡】
□軌跡外伝2 ーあの夏の思いー
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2004年4月 シベ面 高校入学
かんとくも1年生として高校に入学。
新入生歓迎会で上級生の矢面に立たされ
飛び交うアメや生卵&ゆで卵をかわしつつキャッチしたのはいい思い出。
1年3組 たけちゃん学級
もちろん知り合いなどいるわけがない。
しかしそこは何とかしたのである。
ちなみにこの1年3組で後のシベの準レギュラーとなるキタヤマと出会うのであった。
のち、このキタヤマとは2年でも同じクラスになり長い付き合いになるのであった。
ところで
(…ほかのシベ面はどうなったかな?)
風の噂によると、naokiやユージはハンドボール部に入ったとか。
IGAが引っ越したとか。
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月日が経つのは早いものだ。
入学してから4ヶ月たった。
もう8月中旬だ。
中学とはひと味もふた味も違う。
ぼわ〜とした雰囲気がない。
常に空気が締まっている。
勉強レベルも段違いに上がる。
予習が欠かせない。
毎日帰ったら予習せねば。くそっ。
そんな高校生活にもようやく慣れてきた夏。
シベ面とは全然である。
当然、野球のやの字も出てこない。
それでいいと思っていた。
シベリアーズは解散したのだから。
しかし、この年の夏
かんとくの野球熱に再び火を点ける、あの事件が起こった。
あの日の出来事は、今でも忘れない。
かんとく、16歳の、夏
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜2004年8月22日〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
5万2千人が震えた
道民が湧きに沸いた
そしてかんとくが叫んだ
ーーー駒大苫小牧高校 全国制覇ーーー
出れば負ける
当たればラッキー
そんな評価を受け続けてきた北海道代表校
前年度は8−0の大量リードを奪いながら降雨ノーゲームとなり、翌日の再試合で敗れ去った駒大苫小牧。
その悔しさをバネに翌年に“最強”の称号を勝ち得た駒大苫小牧。
カッコよすぎる
かんとくは甲子園が大好きだ。
毎年北海道代表の試合はビデオに収めていた。
でも、いつもいつも1本しか使わない。
初戦で負けるから。
悔しかった。悲しかった。
この年は数本になった。嬉しかった。
周りの人間は【駒大苫小牧=田中マー君】であり
マー君の時代が最強だとよく言うけれど、
かんとくはこのV1、つまり初代駒大苫小牧こそが最強だと思っている。
もちろんマー君たちの時代も強かったと思う。
数々の逆転劇を起こしてきたあの勝負強さは本当にすごかった。
でもかんとくは初代が好きだ。
岩田&鈴木・糸屋・桑島・林・五十嵐・佐々木・原田・桑原・澤井
最強のメンバーだ。
ちょっとその強さについて語らせてくれ。
まずチーム打率'448は半端じゃない。
3割打てればすごいと言われるのに野手は全員3割超え、平均が'448、恐るべき破壊力。
三振は1試合につき平均3つ
犠打は確実に1発で決める
球はギリギリまで引きつけ、甘い球は逃さず振り抜き、臭い球はカット。ボールなら振らない。
そういう基本となるプレーが完璧にできていた。
そしてつなぐ打撃で1番桑原から9番五十嵐まで
まさに「どこからでも」点が入る。
このチームに勝る打撃力を持ったチームを、贔屓目なしにかんとくはまだ見たことがない。
そしてその打撃の裏に隠れていおり意外に知られていないのだが、守備に関しても実はエラー数がものすごく少ない。
確実に打球をさばきコツコツとアウトを積み重ねていたのだ。
“豪打”と“堅守”を兼ね備えた恐るべきチームだ。
突出したプレイヤーがいないものの、総合力ではS級。
まさに監督の思い描く理想のチーム像だ。
そのチーム力の高さを証明するかのように
初戦(2回戦)で佐世保実業(長崎)を7-3で破ると
3回戦では優勝候補の日大三高(西東京)相手に7-6でなんとか逃げ切り
準々決勝ではエース涌井(現:西武)、主軸石川(現:横浜)を擁する横浜高校(神奈川)を6−1で完璧に破り
一気に下馬評が上昇、優勝候補へと名乗り出た。
勢いそのままに続く準決勝では仲澤(現:巨人)を筆頭に強打で鳴らす東海大甲府(山梨)を10-8で下す
そして決勝の相手は春のセンバツ優勝校
名将上甲監督率いる済美(愛媛)だ。
このときの済美のエースが福井(現:広島)、4番が鵜久森(現:日ハム)である。
夏の甲子園初出場ながら、センバツ優勝はダテじゃないと春夏連覇をかけて決勝に辿り着く。
かたや、春夏連覇をかけた新興勢力
かたや、初の道勢優勝をかけた北の最強集団
野球ファンなら絶対に見逃せない闘いだった。
一進一退のシーソーゲーム
あつい。
とにかく熱い。
まさに熱闘甲子園。
最後は鵜久森が打ち上げて13-10で済美を下し、駒大苫小牧高校 初優勝。
あのときは本当に北海道が歓喜の渦に巻き込まれた。
かんとくは嬉しかった。
北海道勢が優勝したということもさながら、
自分が高校生、即ち甲子園世代になって初めての年に優勝してくれた。
本当に嬉しかった。
そして、高校に入って4ヶ月、野球魂がすっかり消えかけていたかんとくに、何かが芽生えた。
忘れていたな、この気持ち。
ーーーそうだ、野球をやろうーーー
(完)