【軌跡】

□黎明期前半:中2秋→中3夏
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約3週間の休部も終わり、部活が再開した。

でもそんなの関係ねぇ。

俺たちにはもっと大事なあつまりがある。

伏古シベリアーズだ。




人は揃った。やる気も十分。場所も確保。



しかし‥‥‥‥‥‥‥





道具がない。




ドラえも〜〜〜〜〜〜〜〜ん



と叫んだところで道具は出てこない。




バットはある

グローブもある

ミットとメットはnaokiが持っている


しかし、練習するのに十分なボールと
キャッチャー用のプロテクターがない。



欲しい‥‥‥‥‥‥‥





しかしそこは中学生。100円が大金。


プロテクターは数千円

ボール一球およそ400円

10球買うとしたらおよそ1万円はかかってしまう計算だ。

そんな金はない。




じゃあどうするか。


道具がないから、諦めるって?








ケッ










わかってねぇなぁシベリアーズって連中のことをよぉ










軌跡の小6遍読んできたか?









IGA「気に入った話がないからってすぐにあきらめて逃げんのはダサすぎやろ。だったら、俺らでイチから紙芝居作って発表したらエエやんか!!」


この教え、忘れちゃいないぜ、IGA






かんとく「“道具がないからってすぐに諦めんのはダサすぎやろ。だったら、俺らで道具作ればエエやんか”…だろ?IGA」

IGA「…へへ、先に言われちまったな」


いつのまにかIGAを中心にまとまっていたシベリアーズ。

マグニチュード10の地震でも揺らぐことのないこの絆。

その大黒柱、IGARASHI。もうすぐ24の誕生日。









さて、シベリアーズの道具製作。

まずはプロテクターだ。

軟式などあたっても大した威力ではないため

防具に使用する素材は大したものでなくていい。

A間「俺に、任せて、もらおうか」


A間を先頭にシベリアーズはある場所へと向かう

その場所とは……「カウボーイ」だ

今では「トライアル」って名称だがな






A間「……コイツを利用する」



そ、それは‥‥‥‥‥‥‥


IGA「板紙を多層構造で強靭にし、包装資材などに使用できるよう加工した板状の紙!!!!」


A間「そう……通称、ダンボールだ…」


なるほど、このテがあったか。

ダンボールならスーパーにいくらでもある。

替えもきく。加工もしやすい。

プロテクターとしてはぴったりだ。


ついでに百均に寄ってゴム紐を購入。

これで着用可能にするというわけだ。

賢いぞ、シベリアーズ

冴えてるね、シベリアーズ。




そして1日後‥‥‥‥‥‥

ダンボールは生まれ変わった。


古田モデル、鮮青のプロテクターに。

“青”という色は投手の心を落ちつかせる作用がある。

ここまで気を遣うか、シベリアーズ。


(ま、そんなプロテクターも、今ではかんとくの家の庭の片隅で朽ち果てていますがね……。)



さて、プロテクター問題は片付いた。

あとはボールだ。

さて、どうする。


主将「おれに、任せてもらおうか。」


主将が”任せろ”だって?

自ら”任せろ”だって?

あの主将が‥‥‥‥‥

ここは主将を信じて任せてみよう




そして、3日後‥‥‥‥‥


主将の手にはいくつかのボール

naoki「こんないいボール、一体どこで…?」


主将「ふっ。グラウンドの外に落ちてたボールを拾い集めただけだ」

グラウンドの構造上、たまに道路あるいは外周付近にボールが出ることはある。

一応拾いに行くので基本は道路にないが、それでもたまに落ちてる時は落ちてる。つまり十中八九道路にあるボールは野球部のものだ。

しかし、部活のない時に道路に転がっているならそのボールが部活のものだとは限らない。

何しろ証拠がないのだから。

つまり、道端の石ころと同じなのだから拾っても問題はない。




盲点を突いた主将のファインプレー。




恥も外聞も捨て、チームのために動ける男。

汚れ役も厭わず、チームのために動ける男。

それこそが主将の器。








これで道具は揃った。




いよいよ活動開始だ。




(次項へ続く)
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