星霜
□星霜U
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29話
『連休の予定は…?』
─── 昼休みの屋上
「皆さん、G.W.のご予定は何かありますか?」
相変わらず仲良く皆で過ごしている中、遥が皆に話題を提供。
「オレは…」
「はいは〜い!私は合宿を提案しま〜すっ!」
何か言い掛けた切原の言葉を遮り、元気よく手を挙げて提案したのは姫。
「合宿、ですか…」
「本当はさあやと二人っきりでお泊まり!がいいんだけど!そんなの精市が絶対!邪魔するから皆で合宿!それならいいよねっ?」
R陣を落胆させ、幸村に笑顔で振り向く姫。
「…それはさあや本人に聞いた方がいいんじゃないかな…?」
珍しく幸村がさあや本人の意思を促す。
「さあや?」
「?……合宿、て…何?」
ボケボケ発言に場の空気が白ける。
「…お約束、じゃのぅ」
「さあや…。もう少しテニスに興味持ってくれないかな?」
さすがにフォローではなく、やる気を促す幸村。
「えぇ?………テニスの話してたの?」
嫌そうに答えたかと思えば、更に全く気付いていなかった事が発覚。
「…そうだよ。
夏休みにはいつも泊まりがけで俺が出掛けてただろう?覚えてない?」
「………ああ。旅行じゃなかったの?」
「どこまでボケてんスか…」
切原を始め、呆れ気味の面々。
「精市…話してなかったのか?」
「言ってた筈なんだけど……解ってなかったみたいだね」
苦笑するしかない幸村。
「…天然、じゃのぅ」
はっきりさあやにバカだろ、空気読め、それ位気付けよ、等とからかったり突っ込んだり、叱ったりする行為は幸村の怒りを買ってしまうのと同じ。
わざわざそんな喧嘩を売る様な真似をするバカは既に立海R陣の中には居ない。
…為、さあやの天然度は今日も加速するばかりだ。
「さあや!体験合宿しよう!すっごく楽しいんだよ〜?皆でお泊まりって!」
「…泊まる、のはちょっと…」
嬉しそうに迫る姫に対し、さあやは困惑気味に言葉を濁す。
「あ…さあやの家って親とか厳しいの?」
「精ちゃん…?」
「…かなり厳しい方だと思うよ」
「そう、なんだ…」
「何で精市が答えるのよ!?」
「基準、解らない」
「!」
最もな意見をさあやに返され、少しショックを受けている姫。
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