星霜

□星霜T
2ページ/126ページ



梼O角関係?



「さあや…精市と一緒に学校に来ちゃって良かったの?」

人気のない廊下。

「うん」

「……本当に?ずっと隠…」





「大丈夫だよ。」

言葉の先を遮って笑う。

「でも…」

「心配しないで。姫はいつも通りに過ごして。ね?」

「……う、ん」





「さあや」

「…精市。さあやと一緒に登校してくるなんて話…聞いてない」

近付いてきた幸村に睨む様な視線を向ける。





「さあやと少しでも長く。一緒に居たかったんだよ」

「……」

柔らかく笑う幸村の横顔に姫は非難の言葉を発せない。





「さあやも。そうなんだよね?」

「……うん」

手を取られ、絡められる指を見つめて微笑する。

「さあや…」





「でも姫がこんなに落ち込むなんて思わなかった。そんなに精ちゃんが好きだったんだね」

重い空気を壊す様な勘違い発言が飛び出す。





「「……」」


「相談してくれれば逢い引きの手伝い…」

「「待って」」

「え?」





「逢い引き、て何かな?」

「男女がこっそり会うこと。密会。」





「何でこっそり会わなきゃいけないの?一応、同じ部活なんだけど?」

「一応は余計だよ」

「精ちゃんが入院してたから?」





「……じゃあさあやと逢ってたのは逢い引き、だよね?」

「密会じゃないよ?」

「病室で逢ったことないじゃない」

「ああ。そうだね。じゃあ、逢い引きでもいいかな」

あっさり肯定。





「……さあやは本当に鈍いね」

「??」

「…精市…まさか…」

「何?」

「さあやに本気で…!?」

気付いたのは姫の方。





「そうだよ?それが何?」

「精市!今日から私のライバルよっ」

「フフ…姫はいきなり何を言い出すのかな?」

「!?」





「……仲良いね、二人共」

「違うっ!」

「妬いた?」

「んーー?……うん」

少し考えた後、頷く。

「「え…」」





「ちょっとだけ。羨ましい。」

「「さあや…」」

対照的な顔をする二人。





「でも二人が仲良いのを見るのも嬉しいから」

「別に仲良しじゃ…」

「…じゃあさあやも仲良くすれば良いんだよ」

「え?今も仲良しじゃないの?」





「もっと仲良し、になりたくない?俺と。」





「えっ!ずるいっ!さあやは私と仲良くするんだよっ」

「俺と、だよ」

「私と!」





「………仲良し、ねぇ?」

睨み合う二人を眺めていたかと思えば。





「じゃあ両方ともっと仲良し、になる」





「俺だけで良いのに」

「私だけで良いでしょ」

異性なのに同じ意見を持っている二人。





「…両方、と。嫌ならどっちも仲良くしない」


ぽつりと呟いて体を反転させれば両腕にそれぞれ手が伸ばされ、止められる。





「「解った」」

結局、折れたのは二人の方だった。


.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ