星霜

□星霜T
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「さあやはもう皆を知ってるよね?」

「………まぁ、ね」

嫌そうな声でちらりとR陣に目をやったかと思えばすぐに幸村に目を戻す。


「さあや?」

「駄目だよ。自分で言わないと」

「……一宮 さあや。立海大付属三年。……幸村の従姉妹。姫とは同じクラス…」

渋々と言った様子で告げる。…愛想が全くない。





「さあやは私の親友なのよっ!」

「「「は(え)?」」」

さあやの腕を抱き締めて紹介した姫の言葉に困惑した声を返す。





「…その様だな」

参謀は既にチェック済み。





「自称?」

「公認よ!ねっ!さあやっ」

「まぁ…姫がその方が良いって言うから」

淡々と話を振られるままに頷く。





「ふぅん?」

「何よっ?さあやだって認めてるんだからねっ」

「何も言ってないよ」

「「「…?」」」

幸村と姫がいきなり睨み合いが始まり、少し険悪な空気になってしまい、皆は困惑する。

「精ちゃんは練習しにここに来たんじゃないの?」

最もな意見が出され、

「あ、そうだったね。じゃあ姫に色々教えて貰いなよ」

あっさり態度を改めて指示を出す。


「解った。姫、よろしく」

「う、うん…」





「ああ、そうだ。皆、さあやは俺の専属マネだからね」


「「「は…?」」」

いきなりの宣言に思考がついていけない。


「良いよね?」

「「「はいっっ」」」

だが、幸村の決定には誰も逆らわない。…が。





「さあや、専属って何?今日だけ手伝ってくれるんじゃないの…?」

「えーと、姫は一人で大変、だからお手伝い、する。でも精ちゃん以外の世話はしたくない。…って言ったら精ちゃんが専属マネで良い。って」





「………精市?」


「良い案だろ?」

とにっこり。

「………あー、うん。解った。じゃあそういう事で。」

皆を見たかと思えば暫くの間を置いて、頷く。





「姫?」

「さあやは教えるからこっちに来て。皆!練習頑張ってね」

さっさとさあやの手を引っ張り皆に背を向け、二人は部室に姿を消した。





「じゃあ皆、練習始めようか。」


「「「おぅ(はい)!」」」

幸村の笑顔に疑問も文句も封じられて、練習が開始されたのだった。


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