星霜

□星霜T
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1話


『新しい風』





ある日曜日のささいな会話をきっかけにして新たな物語の幕が上がる──。







「切原くん!姫先輩に抱きついて迷惑かけちゃ駄目だよっ!マネージャーは切原君だけの物じゃないんだから!」

幼馴染みの彼女は切原の姿を見つけて、声をかけ。日常会話からテニス部の話になり…突然説教が始まった。


『姫先輩』。


それは遥が憧れている立海男子テニス部の全員に愛されているマネージャーの名前。





「な…なんだよ?マネージャーは何でも仕事しなくちゃいけねえんだから、オレを受け止めんのもマネの仕事!!」

切原はそんな遥の豹変に怯みながらも言い返す。


「マネは忙しいんだから仕事の邪魔しちゃ駄目だよ。姫先輩、困ってたじゃない!」


毎日、フェンス越しにテニス部の練習を見学していた遥の目的はどうやらテニス部R陣…

ではなくマネとして働いている姫、らしい。


……変わった子だ。



「お前、マネに憧れてんのか?ならやればいいじゃん。オレから幸村部長と真田副部長に頼んでやるぜ??」

にやりと笑う切原。

「!?」



「姫先輩と一緒に仕事出来るぜ?」



「な、なんでそうなるのよ!?私がいたら姫先輩の足手まといになるし、邪魔になるでしょっ!マネは姫先輩だけでいいの!テニス部は姫先輩の傍にいるからモテてるだけなんだからっ!勘違いしないでよねっ!」

と、真っ赤な顔で拒否する遥は意外に頑固だった。





「うぇ!?な、何だよ急に…一緒にマネやればいいのによー。何が嫌なんだよ?お前は理由無しでムキになんかなんねぇだろ?言ってみろ!」



「おね……っ、姫先輩が……柳生先輩と歩いてたの〜〜!何なのよ!馴れ馴れしいっ!
姫先輩は私のなんだからぁ!!」

涙ぐみながら爆弾発言を落とす遥。





「へぇ……(おね?)柳生先輩と、ねぇ〜。なんか知能コンビって感じでいいじゃん。そういう虫から守ってやればいいんじゃねーのか?」


からかう様に言いながらも、マネになれと笑いながら誘う切原。






「……マネ、になったら…虫、いなくなるの?柳生先輩より、私の方がいい、って…姫先輩言ってくれる、かな?」


遥の気持ちは切原の言葉により早くも揺らいでいた。


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