short(書)

□ご予約承りました
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午前0時の突然の訪問者は、逢いたいと思っていた愛しい恋人

“先生には私が一番にあげたくってさ”

そう言って笑う君を見て、思わず口がニヤける

“先生と生徒”

この関係は決して壊すことのできないもので

傷つけたくなくても傷つけてしまうことなんて、言わなくてもわかってしまう

だから必死に生徒と思うようにしてきたのに

あの進路希望調査はチャンスだなんて思ってしまった

気が付いた時は、俺はお前にプロポーズっぽいものをしていて

文句を言いながらもこいつは毎日俺のいる部屋に来て

いつのまにか俺の彼女になってた

一緒に出掛けたりできなくても
簡単に抱き締めてやれなくても
俺の周りに他の女子生徒がいても

文句一つこいつは言わないくて

元はと言えば、俺の我儘から始まったこと

だけどもう引き戻れないぐらい、俺はこいつにハマってるわけで

誰にも渡したくないと、笑顔を見るたびに思う


「お返し何がいい?」

『えっ、ん〜……』

一生懸命考えてる姿が可愛くて愛しい

『あっ先生のなんか服!』

「…変態?」

『ちっ違…』

「普通指輪とか言わない?」

さっきまで笑っていた彼女の顔が曇る

『だって…それを先生だと思って抱き締めて寝れば…淋しくない…かなって……っ』


思っていたよりもずっと君は苦しんでいたわけで

今までの我慢の糸が切れたように、ボロボロ泣く君を強く強く抱き締めた

まるで、ごめんなって、大丈夫だよって言い聞かせるように

「卒業までもう少しの辛抱だから…何があってもお前は俺が守ってやる

淋しい時はいつだって飛んできてやるから…」

俺の言葉に嬉しそうに笑う君はとても綺麗で

まだ少し震える君が愛しいと思う俺は変なのかな

『ねぇ、先生…一つだけ、我儘言ってもいい?』

「ん、何、キスしてって?』

そう冗談を言う俺の肩をパシッと叩いた君は耳まで赤くて

『バカ!…あのね、お返し変更してもいい?』

「いいけど…何?やっぱ光りモン?」

『ううん、違くて…あのね、一日だけでいいから

“先生の一日を私にちょうだい?”』


ご予約承りました


(あ―…もう俺ダメだ…キスしていい?)
(今キスしたらチョコ味かな)


君と一日中一緒にいられるなんて、俺も嬉しくてお返しにならないよ






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