short(書)

□ハッピーエンドってつまりこういうこと
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卒業式が済んだ後は
お決まりの撮影大会で
みんなみんな、それぞれの想いを抱えていて
泣いたり、笑ったり



けどそんな生徒達がようやく家に帰った今

私は例の秘密の場所に来ているわけで



『先生―…』

「んー?」

やる気なさそうに返事する先生の首に抱きついた

今まではこんな事、学校じゃしたくてもできなかったのに


『……これからは堂々と先生に抱きつけるんだよね…?』

「おー」

『休みの日には外で手繋いでデートできるんだよねっ?!』


今の私の顔はよっぽど必死だったらしくて、先生は私の頭を撫でてくれながら、また、おーって言った


「2人でドライブもできるし、逢いたい時はいつでも逢えるぞー」


そうやって先生は優しく笑った


その顔反則よ

泣きそうになってきちゃったぢゃない


…もう泣いてるけどね



「よく頑張ったな」


見上げればいつもの意地悪な笑顔


『……将来の夢は“お嫁さん”ですから』



『“先生の”ね』
「“俺の”な」



先生は目を丸くして私を見た

一緒の事考えてるのに驚いたのね

わかるわよ、だって私もそうだから



「じゃ―何かご褒美あげないとな、卒業祝いもかねて」

ご褒美という言葉に胸が高鳴った

ついさっきまで感激して泣いてたのに、強かかしら



嬉しそうな顔をする私に先生は優しくキスした


まさかとは思うけど


『え、ご褒美ってこれ?』

「嫌?」

『嫌じゃないけどさ』


むしろ嬉しかったけどね!
でも他にも何かあるでしょう?


「しょうがねーなー。じゃぁ選択制な。今から言う3つの中から選んでください」


そう言って私の耳に口を近付けた


「………」


あぁ、私はやっぱり強かな女だわ



ハッピーエンドってつまりこういうこと


(指輪と婚姻届と俺の名字、どれがいい?)
(全部!)





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