short(書)

□禁断の恋も悪くない
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気付けばもう進路を決めなきゃならない時期で

でも進路希望調査なんて渡されたって書けないもんは書けないわけで

でも、とりあえず、私なりに考えて、なりたいものを第3希望まで書いて出したのよ?

なのに放課後呼び出しっておかしいと思わない?

『失礼しまーす』

「あ、来た来た。ま、座んなさい」

『はーい………先生、この部屋かなり煙草臭い…』

「気にすんな。てか気のせいだろ」

『………(この人よく先生になれたな)』

私のクラスの担任は、まだ若い国語の先生

校内禁煙なのに、堂々と教官室で煙草を吸う位不真面目だし、やる気の欠片も見えないのに、何故か生徒には人気で、女子なんてキャーキャー言ってるけど、私にはどこがいいのかさっぱりわかんない

でもまぁ、確かに、顔だけ見れば騒がれる対象かも

あ、そういえば、前に先生には好きな人がいるって噂聞いたっけな

『で、ご用は?』

「おっ前、今、話聞いてなかったね?これは何だって聞いてんの!」

呆れながら先生が差し出したのは1枚の紙


『進路希望調査ですね、朝出した』


“第1希望…お嫁さん
 第2希望…シンデレラ
 第3希望…キティちゃん”


「ふざけてるだろ、お前」

『いたって真面目ですけど』

「とにかく、書き直せよ」

…本気なのに

書き直せと言われたって、ここですぐ書き直せるもんなら苦労はしないわけで


『あ、先生好きな人いるって本当ですか』

「…そんなのはいいから、早く考えろ」

考えすぎで頭から煙出そう

ふと先生を見たら、先生も何か考え事をしているようだった

横顔カッコイイかも…あ、やば、こっち向いた

「そんな悩むならさぁ…第1希望の“お嫁さん”ってのにでも、なってみる?」

『へ?』


「ただし“先生の”って限定だけど」


禁断の恋も悪くない


(先生の名字と私の名前じゃ、ちょっと語呂悪いね)
(問題そこ?…まぁ、そういうとこ好きだけど)


密会場所は国語教官室





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