「急に呼び出すからびっくりしちゃった。」
「しゃーないやん、いきなり降るんやから。」

半透明な傘に男ふたり窮屈そうに寄り添ってる
こんな光景絶対晴れの日じゃ見れんやろな。
雨が降り止まない夜。
この雨が止んだら帰ろう。
とか思って喫茶店で1時間くらい時間を潰したんやけど、止む気配ナシ
せやから敏弥を呼んで傘を持ってきて貰った
ま、来てくれただけでも有り難いやけどな。

「心夜と相合傘出来るなんて夢みたい。」

いきなりそんな声が少し上から降ってきて、上を見えると案の定ニヤけとる敏弥が居った。

「傘持って来て言うとんのに1本しか持って来らんとか、ワザトやろ?」
「あ、分かっちゃった?」

"心夜と相合傘で帰るのさり気無く夢だったんだよねー"
そう恥ずかしがる様子も無く言って来る敏弥に、こっちの方が恥ずかしくなってきた。
何やねん、その学生同士の恋人みたいな夢。
僕は敏弥の目線から逃げるように視線を外す

「あ。」

すると何を思ったのかは知らないけど敏弥がいきなり立ち止まった。

「どしたん?急に立ち止まって。」
「心夜。」

敏弥の顔を見ようとした瞬間、敏弥の顔が近付く
そしてそのまま拒否る間もなく敏弥の唇が触れてきた。

「な、なにしてんねんっ!」
「大丈夫だって。人なんて俺らぐらいしか居ないから。」
「っ・・・・。」
「顔真っ赤だよー、心夜。」

慌てとる僕をよそに、余裕のある敏弥の声
なんやねんコイツ。ありえへん
僕ばっかりアホみたいなやないか。
指摘された頬の赤みがじわじわと中身から伝わって来る


「帰ったら風呂一緒に入ろっか。」
「絶対嫌や。」





雨の中に二人/偏差値


20081019 kirimoto.


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