Novel

□恋、音色 13
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恋、音色 13

どうしよう、どうしよう…!

レンが出て行ってしまった。
レンは多分、この家に来てから一度も外へ出ていないと思う。

危ない。絶対に危険だ。

「どう、しよ…」

私、悪い事したのかな。

何かしちゃったんだよね。
だからレンもああなっちゃって。

そんな事より、探さなきゃ。

私は靴を履き、玄関を飛び出した。

VOCALOIDは全国で発売している。
でも実体化のVOCALOIDなんてめったにない。
それが街中を歩いてたら…

さらわれちゃうかもしれない。

久しぶりに冷や汗が出た。

確か、最後に冷や汗が出たのはお父さんとお母さんが死んだと聞いたとき。
小さい私でもことの重大さは理解できたから。

どうしよう、レンがいなくなったら。
がむしゃらに走った。
レンは目立つと思う。
セーラー服に金髪なんて、絶対にいないようなものだ。
なのに視界にはそんな人は見当たらない。

しばらく走ったものの、いなかった。

なんでこんなに焦ってるんだろう、私。
別にいいじゃない。勝手に出てったんだし。
もう帰ってるかもしれない。

溜息が漏れた。

でも、やっぱり ヤダ
レンがいなくなっちゃ、ヤダよ…
なんでこんなに大切なんだろう。
お母さんとお父さんが死んだときより焦ってない?私。

そ…っか。
家族だもんね、レンは。
せっかくの家族、また失うのはいやだ…!



それから2時間後。レンの姿はなかった。



続く

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