Novel

□恋、音色 07
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恋、音色 07

「あのさレンって家族いるの?」
いきなりの私の言葉にレンは目を丸くしている。

「なんだよ。いきなり。どうかしたの?」
「いやー…。なんとなく」

本当になんとなくだった。
ただ、レンについてもう少し知りたいって思ったのもあったんだけど。
レンは床にすたっと座り微笑んだ。

「いるよ。あ、でも、家族みたいなの」
「へぇー!いるんだ!」

予想外の言葉に驚いた。私はそのままレンの隣に座った。
「うんっ。姉みたいなの。一応双子」
「双子!?」

…あ、そういえば!
前PCで検索したときレンには双子の姉がいた。
たしか名前は、鏡音リン。

「もしかして、鏡音リンってコ?」
「そう!うるさいけど結構いい奴なんだよ」

やはりそうか。納得納得。
「離れ離れで寂しくないの?」
「寂しくないよ。だって…その…」

また下を向いてしまった。
「マスターがいるから」

ぼそっと言ったレンの言葉に嬉しさと気恥ずかしさがおしよせてきた。
レンはやはり頬を火照らしている。
「えへへ。ありがと」
私は満面の笑みで応えるとレンは首を下に向けたまま顔だけ上げ、私のことを見つめた。

「べつにっ。…ねぇ、マスターにも家族いないの?普通の人間は家族と一緒に住んでるって聞いたけど、マスターの家には誰も居なかったし、どうして?」

「ああ。死んじゃったんだよ。私が小さい頃に」

少し苦笑いぎみに言うと、レンは「え…っ」と小さく呟いた。

沈黙がながれる。
何故だろう。レンが今にも泣きそうだ。
もしかして、な、泣かせちゃった!?

「ますたぁ…ごめ…」

…ん?

「ごめんな…さいっ…」

「え、え?なんであやまるの?」

私はどうすればいいのかいいか分からずにオロオロしてると「だって、その。とにかくごめんなさい!」と言う。

「大丈夫だから、泣かないで、ね?」
私はレンの目尻にたまった涙を指でふき取ると勢い良くその手を握られた。

「オレ、オレね。その…。……なんでも、ない。ごめん」

何かを言いたそうだったけど、やめてしまった。
まだ握られている右手。

「うん…」
「あの、さ。その…。オレはずっとマスターの傍にいるから!」

握られた手を一段と強く握り締め、まだ少し目尻に涙をためながら顔を赤くしてレンは言った。

レンがそんな事を言ってくれるなんて思ってなかった。
突然の言葉にどう返していいかわからなくなる。

「あ、うん」

とりあえず頷く私。

「マスターも、ずっとオレの傍にいてくれる?」

レンが我が家に来てから2週間と少し。
今日は、やけにレンが素直だったことと

「うん。いるよ」
「約束ね?」
「うん…。約束」

絆を深める約束をした記念日となりました。


続く

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