SS.CROSS ROAD ♯1

□ケミカルリアクション〜Episode 2〜
1ページ/2ページ

※プロローグから順にお読み下さい。
※性的な表現が含まれています。自己責任で。



これは、夢か?それとも俺は酔っているのか?


**********************


“自分の恋人が一番”その定義を立証すべく、
年下の酔っ払い共は、春道の提案により俄然テンションが上がっていた。



「なるほど!!百聞は一見にしかずというわけか!頑張りましょうね!アニキ!」
「いや…き、木場…その…。」

「確かに、その方が手っ取り早いな…。なぁ、阪東?」
「ふっ、ふざけんな!こんな所で出来るかっ!!」

「おおおし!リンダ!負けねぇようにガッチリやっぞ!!」
「バカかテメェは!!!いっぺん死ね!」

しかし、このとんでもない提案に、
酔っぱらいVS常識ある者達と各々で口論が勃発する。

それはそうだ。確かにここに居る3組は恋人同士。
そういう行為が皆無という訳ではない。
むしろ、どちらかと言うと、お盛んな方で…。

しかし、二人っきりの甘い時間とは状況が確実に違う。
自分と恋人以外に人間が居るのだ。しかも4人も。
そんな乱交まがいな事は、常識ある人間なら必ず拒否する内容だろう。


しかし残念な事に、その半数の人間は勢いよく賛成してしまっているのだ。


意見を主張する酔っ払いというものは、とにかく性質が悪い。
聞く耳という大事なものを一切持たないのだから。

「まぁ、いーや!とにかく始めよーぜ!!!」
「あぁ。誰が一番か…な?」
「秀虎さああああん!!」

延々と説き改めようとする恋人達に段々業を煮やした彼らは、
実力行使に出る事にしたらしい。

酔っぱらい達は、一斉に各々の恋人に向かって迫っていった。



「ちっ…!」

年下連中の不穏な空気をいち早く察したリンダは、
飛びかかってきた春道を瞬時にかわし、ヘッドロックを喰らわせる。
リンダの太い腕に捕まった春道は、子どものようにバタバタと暴れた。

「うぎぎぎぎーーリンダ離せえええー!!」
「阪東!!とにかくコイツら落とせ!」
「うるせえっ!言われなくても分かってンだよ!」

酔っぱらい達の趣向を何とか逸らそうと、
各々相手を説得と言う名の押さえ込みにかかったが…。

やはり、その中でもヒロミと阪東が一番派手に言い合っていた。



「ヒロミ!おまっ…何考えてんだ!!!」

阪東は己の着衣に手を掛けようとする不埒な手から必死に逃れていた。

「まぁ、一緒に銭湯にでも行ったと思えよ。」
「ちょっ…何バカ言っ…こらっ!触んな!!」
「うるせぇなぁ。野郎同士なんだ、裸見られたって大した事じゃねぇだろ?」
「大した事に決まってンだろうがっ!!」

しかし、ヒロミはこういう事態に慣れているのか、
阪東の噛み付きも、軽口でのらりくらりと避けて迫っていく。

「いーじゃねぇか。ほら、いい刺激になるかもしれねーし?」
「ざけんなっ!!つーか、何あいつらにベラベラ喋ってんだっ!!」
「ベラベラって?あぁ、アンタが淫乱でどうしようもねーって事?それとも、アンタが俺に参ってしょうがねーって事?」

ヒロミが、そう笑った途端。阪東の頭の何かが音を立てて切れた。


ガツッ!!


勢いよく振り下ろされた阪東の拳は、見事ヒロミの頬を弾く。
周りは喧嘩慣れしている面々ばかりとはいえ、突如手を上げた阪東に全員が目を丸めた。
だが、阪東は動揺するどころか後ろに吹っ飛んだヒロミに鼻を鳴らすだけだった。

「痛って…。」
「ヒ、ヒロミ?大丈…」

阪東の拳があまりにもキレイに入ったので、秀虎が心配になって声をかける。
だが、その声にヒロミは反応せず、切れた口の端を上に吊り上げた。

そこに居た全員が、ヒロミの瞳の奥が冷たく光るのを見たと同時に、
ヒロミは、座っていた阪東の喉笛を片手で掴み上げ、ガタンと床に倒した。
そして、その倒れた肢体に馬乗りに跨り、不敵に笑う。

それは、まるで獰猛な肉食動物の狩りの様な光景だった。

「ぐ、ぁ…!」
「相変わらず、凶暴だなぁ…?」
「は…なせ……!!」

頸動脈を押さえられ、苦しそうにもがく阪東に、
馬乗りになって見下ろすヒロミは誰も見た事が無い表情をしていた。

その冷たい微笑みは、長い付き合いであるリンダですら息を呑む程で…。

「ん…ぐぅ…っ…。」
「苦しい…?止めて欲しい…?」

優しく問いかけながらヒロミはギリギリと阪東の細い首を絞めていく。
しかし阪東は、屈服する所かギリッと更にきつく睨みつけた。

「…っ…げほっ…!!」

その瞳を見た途端、ヒロミは突然阪東の喉咽元を緩めた。
すると閉塞されていた箇所に空気が一気に入り込んできて、
阪東はゲホッゲホッと苦しそうにむせ返った。

阪東が無防備になっているその間に、
ヒロミは、相手の閉じたシャツの胸元をプチプチと器用に外していく。
そして、阪東が息を整え終えた頃には、
彼の上半身はすっかり露わになってしまっていた。

その手際のよさに驚いたのは周りの皆だ。
どちらかと言えば阪東側の味方だったはずのリンダも、
かなり乱暴だが、その熟練(?)の技に思わず見入ってしまっていた。

しかし、ヒロミの手はまだ止まらない。
脱がせたシャツをぐるぐる巻いてコヨリ状にすると、
それで阪東の両腕を一つに縛ってしまった。

「なっ…何してやがる!!」
「うるせぇよ。最初っから素直に甘えていればいいものを…お痛が過ぎたな?」
「クッ…いいからこれ解けっ!この酔っ払い!!」
「あぁ…?マゾのアンタは、これ位しねーとイけねぇだろ…?」

ヒロミと阪東の会話は、ハッキリ言って恋人同士のモノとは思えない。
互いを憎み合っている様な、バイオレンスなものだった。
他の4人もヒロミと阪東の愛憎劇に目を丸めている。


「さぁて、可愛がってやる、か…。」

そう言ってヒロミは、阪東を馬乗りに見下ろしたまま、
ペロリと切れた口端を舐めたのだった。





「えええ!!ヒロミが上なのか!?」

そんな彼らの緊縛した空気を壊したのは、春道だった。
春道の無邪気な声に、ヒロミの表情が一瞬和らぐ。

「え?そうだけど…?」
「お、俺…でっきり逆だと思ってた…。」
「あははは、マジで?」

確かにヒロミの方が一見穏やかで優しそうだし、
体格も、身長のせいもあってヒロミの方が僅かだが小さい。
普通に考えれば、ヒロミが抱かれる側と判断しても不思議ではなかった。

「まぁ…俺はどっちでもいいんだけどよ。一番初めがこうだったからさ。」
「へぇぇ〜〜阪東ってそういうの許さなさそうなのになぁ?」
「うるせぇっ!!黙れ春道!!」
「あはは、だから言ってるだろ?…阪東も意外と可愛い所あるんだぜ?」

こうすると、すげぇ甘えてくる。
そう言いながらヒロミは阪東の耳朶をピアスごとクチュ…と含んだ。

「あッ…!!」

その甘い痛みに、阪東の背中がビクンと仰け反る。
思わず口をついて出てしまった甘い声に、阪東は顔を火照らせた。

「…な?」

ヒロミは目だけ動かすと、春道を見据えて笑った。

しかし阪東はそれ所ではない。
皆の視線を一身に受けている中での行為に、
羞恥で顔をカッと焼いていた。

抵抗するにも、腕は縛られ、身体はヒロミの股の下だ。
足は動くが、ヒロミには到底届かない。
まぁ、ヒロミはその辺りを考慮して押さえつけているのだが。

「あと…此処、と…。」
「っ…!!」
「此処も…好きだよね…?」
「うっ…っく…ん…!!!」

ヒロミの指や舌先が阪東の皮膚をなぞる度に、
阪東は面白いほど、ひくん、ひくんと小さく震えた。

的確なヒロミの愛撫に、阪東の甘露な快感が引き出されていく。
いつものナイフの様に鋭い阪東の目線は、次第に蜜の様にとろけ始めていった。

「や…めろ…!!」
「聞こえない。」
「っ、あぁっ…!!」

胸の小さな色づきが、チュウッと音を立ててヒロミの口内に吸い込まれる。
直接的な刺激に、阪東の潤んだ目は大きく見開いた。

「ふっ…!…ん、く…っ!!」

阪東が口唇を噛みしめて、嬌声を殺す。
しかし、その我慢したくぐもった声が、ヒロミを雄を熱く滾らせるのだった。

「う…っん……んぅっ…!!」

阪東が鼻を鳴らす度、ヒロミはそれが楽しいようで更に乳首を弄ぶ。
口唇で挟み、舌先で散々可愛がったかと思えば、カリッと噛む。

優しく弄られ、もどかしさを覚えた頃に与えられる刺激は痛みを伴う程のものなのに。
阪東はその快楽に足掻けた事が一度も無かった。

「あ…も…!よ、せ…!」

阪東の肢体にはどんどん熱が篭もっていく。
ヒロミは尖らせた舌先で、乳首の根元をくるりくるりと何度もなぞり、
その頼りない、小さな性感帯を丸く丸く膨らませていった。





ヒロミと阪東の情事を黙って見ていた春道は、
ごくっと唾で喉咽を鳴らすと、リンダの首にするりと腕を回した。

「お、おいっ…ハル…!?」

突然甘えてきた春道に、リンダは思わずぎょっと身体を強ばらせた。

実は、その無邪気さ故、春道からこういう甘い雰囲気になる事は数える程だったのだ。
室内でイチャつくより、外に出たがる。色気より食い気。
しかも極度の照れ屋な春道は、なかなか自分から甘えるという事が出来ない。

そんな春道が事もあろうに、その気になって可愛く甘えてきているのだ。
こんな状況でなければ、垂涎ものの場面なのに。


いや。まさか。こんな所で。そんな事は。
リンダの頭の中で、天使と悪魔が言い合いを始める。

「りんだぁ…。」
「…な…なんだ?」
「俺にもシて…?阪東みたく…。」

そう小さく呟いた後、春道は着ていたTシャツを首までたくし上げた。

「っ…!!」

それを見たリンダは、思わず春道から顔を背けてしまった。

無理もない。心底惚れている恋人が、自ら肌を露わにして誘ってきたのだから。
それ以上を見続けると、確実に下半身は一瞬で大変な事になってしまう。

リンダの、必死で繋ぎ止めていた理性の糸も、
どんどん細く、頼りないものになっていく。

「りんだ…俺、すっげーシてぇ…。」

吃驚するほどの妖艶さを漂わせて、春道はリンダに迫っていく。
膝に跨り、腰をすりつけ、リンダに拙いキスを何度も繰り返した。

「触ってくれよ…なぁ…。」

そう言って、ぐずぐずになって甘えてくる恋人に、
とうとうリンダの何かがブチッと切れた。



俺も…腹括るしかねぇみてぇだな…。

緩急な快楽に堕ちていく阪東と、
春道の背中に潜り込んでいったリンダを手を見た後、
秀虎も、木場を遮っていた腕の力を緩めたのだった。


NEXT
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ