SS.QP ♯1

□キマグレクチビル
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※性的描写を含みます。自己責任で。

「木場。ちょっとお願いがあるんだが…。」
「はい?何でしょう。」

その秀虎さんのお願いを聞いた時、俺は目玉が飛び出るかと思った。
新年早々、初詣も終えて団欒していたはずなのに。
それは、まさに天国と地獄そのものだった。


**********************


脂汗を滲ませる俺に、秀虎さんが俺にずい、と近寄ってくる。

「アニキ、や…ま、まままま待って下さいよ!」
「待たない。ずっと断られていたけれど、今年こそお前のを飲む。」


アニキはかっこよくて、可愛くて、優しくて、頼りになって。


…そして、とてつもなく天然な所がある。


「お…俺の、って?…な、何の事、ッスか。」
「え?いつも言っているだろ、お前の精…」
「わああああ!!スンマセン分かりましたそれ以上はあああああ!!!」

アニキの口から思わず出かけた言葉を俺は真っ赤になって制した。
そ、そんな事言われたら、俺のナニが大変な事になってしまう。

今まで頑なに拒んできた、俺の…そのミルク的なものを、アニキは…。
あぁイカンイカンこれ以上想像したら鼻血が出そうだ。

恐らく、色々と俺にさせてばかりと感じていたのだろう。
だから自分も、と今回の要望を申し出てきたのは、実はこれが初めてでは無い。
昔から義理堅いこの人の事だ、分からなくも無いのだが。


積極的にヒメハジメとか。
男にとってはとてつもなく嬉しい事ではあるのだが。

エッチはいい。でも…あの秀虎さんに、これだけは回避したい。


断言する。
俺は、秀虎さんの事が好きだから、余計にさせたくない。


…だって、元々飲むものではない。
俺はアニキの飲むの結構好きだけども。
だからアニキも、ってわけじゃないと思うから。
クセもそれなりに強いし…って、新年早々、何ちゅー話だ。

「いいから。やらせろ。」
「いやっ、その…ア、アニキ…待って下さい…!!」

そんな風に、もごもごと口の中で言葉を濁していたら、
焦れたアニキからベルトをカチャカチャと外されていく。

「ちょ、ちょちょちょ!!ナニやってるんスか!?」
「お前に許可取っていたら来年になっちまう。」
「えええーーーー!!!」

これじゃ木場秀じゃなくて秀木場じゃねぇか!
…と、思わず自分で意味不明にツッコミながらも秀虎さんの身体を押し返していたのだが。


ぱく。


「アッ…!」

過敏な部分を温かくヌルヌルした場所に閉じ込められて、思わず力が抜けた。

大好きな人に、咥えられる事なんて。嫌いな男なんか居ない。
この状況でも、まだ抵抗できる男がいたらお目にかかりたい。

「…ふかまえた。」

秀虎さんが俺のを咥えたまま、“捕まえた”と、にこりと笑う。
この状況で、そんな顔反則でしょ…!!

俺の大好きな秀虎さんは、とてもエッチで可愛くて。
現金な俺の息子は、その笑顔だけでギギンと硬くなる。

「んく…ん、く…。」

何処かうっとりした顔で、俺のモノに舌を這わせている秀虎さん。
その光景に俺の脳細胞はくらくらと揺らされてばかりだ。

彼の口がたまにちゅぷっとたてる水音に本気で気が遠くなりそうになる。
男は視覚的な行為でヤられると、どうしようもなく脆くなってしまう。
少しでも気を抜いたら、アニキの口の中で爆発しちまいそうだ。

我慢だ、理性だ、と。ウンウン堪えていたら、
秀虎さんの舌のフッと感覚が消えた。

「…気持ち良くないか?」

不安そうに口を尖らせる秀虎さん。
…堪らなく可愛い。っていやいや違うだろ、俺。

「き、気持ちいいッスよ…。」
「本当か?」

秀虎さんはまだ不審そうに俺の顔を覗き込んできている。

うう…俺のナニ越しにそんな顔するのやめて下さい…。
いかがわしさ満載で、気を確かに持つのが大変なんですから。

「お、俺はアニキに嘘つかねーッスよ!!」
「ん。なら許す。」

そう言って、にこっと細められた瞳。
あぁ、こんなに素敵な人を俺は他に知らない。

秀虎さんのその笑顔は、視覚的にも相当クるものがあった。
俺は理性を繋ぎとめる為に、目をグッと閉じて天井を仰いだ。

けれども、それを責めるように、アニキの手淫が急に大胆になる。

「ぅぐっ…」

気合いで、アニキの口の中で爆発だけは、と持ち堪える。
しかし、それがどうやら秀虎さんの癇に障ったらしいと言うのが気配で解った。

「ひ、秀虎さん…?」
「…木場は俺のコトが嫌いなのか?」

秀虎さんは、ちょっと悲しそうな顔をしていた。

「な、何でそんな事になるんですか!いくらアニキでも怒りますよ!」
「なら…」
「でも口の中には出しません!!」
「木場は飲むのに…」

そう言って、ぷくっと膨れる頬。

あぁ…こんな子供のような秀虎さんも、可愛いんだよな…。
はっ!?…いかんいかん!!
うっかりしてると大変な事になる!!気合いを入れろ俺!!

「と、とにかく!お…俺は…ひ、秀虎さんの事大好きッスから…。」
「俺も木場の事がすっごく大好きだよ?じゃあ…」
「だっ、だだだだだから駄目ですって!!」

秀虎さんの直球に心臓がばくばくと落ち着かなくなっていく。

「…この前、ナカに出してって言った時は出したくせに」
「ううっ…。」

ぼそっと言われた言葉に、罪悪感を突付かれ思わず怯む。
だ、だってあの状況で、あんなエロい顔してナカに出してって言われたら…!

いやいや秀虎さん…ナカはナカ。口は口です。

「そんなに嫌なのか?」
「い、嫌っつーか…その、…。」

そりゃ、飲んでくれたりしたら嬉しいけれど。
秀虎さんに無理はして貰いたくない。

試してみないと分からないと言われても。
それを試す勇気も俺には無かった。

「…じゃあ、選んでくれよ。」

暴発しないようにと堪えながら、でも相変わらず手で追い詰められていて。
俺の頭の中がフラフラと鈍っていく。

「えらぶ…?」
「口にするか、顔にかけるか。」
「っ…!???」

口か……かっ、か、かかかかかか…!!!

大変大変可愛らしい表情で告げられた二択は相当なモノだった。
な、何ですか?その究極の選択は。

「ど、どどどどっちも、嫌ッス!絶っっっ対無理ッス!!!」
「このままは辛いだろ?早く選べよ。」

優しそうな言葉の裏側でアニキの屈託の無い笑顔がのぞいて、
気付いたら秀虎さんの口が、また奉仕とかしてくれていて。


ヌルリと舌先が先端を舐め押した時、頭の奥がジンと痺れた。


うあああああああっっっっ!!!!


「ん、ふ…っ!!」

結局、口の中に射精してしまった事に、呆然としてると、秀虎さんのむせる声。

「わ、わああああスンマセン!!!!!」

すかさず手を伸ばすと秀虎さんの顔には、
途中で顔を背けちゃったらしく、頬に精液が飛んだ痕があった。

やっぱり駄目だったな、って思うのと同時に、
ちょっと悲しいとか思う、勝手な俺。

「だ、大丈夫ッスか!?は、早く出して…」

眉を寄せる秀虎さんの口元に手を持っていく。
しかし、ふるふると首を横に振られた。


けふっ。

むせながら涙目で返されて。
俺は、ピシッと石の様に固まった。


「も、飲んじゃった、よ…。」
「の、ののの飲んだって…。」
「両方味わっちまった。」

言われた意味がわからなくて呆然としてしまう。

すると、秀虎さんは指で自分の頬に飛んでた白い体液を掬うと、
口元に持っていって、ぺろっと舐めた。

「木場の味。」

にこっと笑われて、気付く。

顔と…口。

彼は自分が提示した二つを実行してしまったらしい。
感動と絶望と。色んなものが俺の頭を支配していく。


…が、もっと支配していたのは。


「ひ、秀虎さんっっっ…!!」


今まで散々煽られて、必死で繋ぎとめていた理性の箍は、
ぽーんと何処か遠くのお空へと飛んでいった。


END
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