SS.WORST ♯3

□KISS KISS×BANG BANG
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神様。仏様。雨を降らせてくれて有難うございました。
おかげで、ウチに遊びに来ていた大好きな小野輝騎くんが
ウチにお泊まりする事になりました。

**********************

「あ〜気持ちよかったぁぁぁ!!」
片手に風呂上りのファンタを持って、俺の部屋に入る。
先にくつろいでいた輝が、読んでいた本を閉じ、俺に視線を向けた。

「こら、光政。髪が濡れたままだ。風邪をひくだろう。」
「んぁあ〜?」

ペットボトルに、フガフガ口をつけながら輝の方を振り向く。

「べふに〜ひからいも〜ん。」
「間抜けな声を出すな。ほら。」

輝が自分のタオルを取り、俺の手を引き寄せる。
俺は向き合って、輝の膝にちょこん、と乗っかった。

「えへへ〜。」
「…………。」

そんな俺に輝はちょっと眉を寄せて、軽くため息をついたけど。
特に何も言わず俺の頭を優しく拭きだした。

前は、「どけ。」とか必ずお小言があったのに。
最近は諦めたのか、何も言わない。

それだけ、距離が縮まったって。そう思ってもいい…?

わしゃわしゃと髪の水分がタオルに持っていかれる。
…実はコレが目当てで、俺は髪をあまり拭いてこなかったりして。
だって…何かいいじゃん。世話妬いて貰うの。
輝に触れるし。触ってもらえるし。………構ってもらえるし。

胸に残るくすぐったさに俯いていると、頭からタオルが離れる。
ふと見ると、首をちょっと傾けた輝が、指を俺の毛先に絡ませていた。
どうやら水分が取れたかどうか、チェックをしているらしい。

うわ。

つーか、この角度メチャメチャかっこいいんですけど…。


凛とした眉。通った鼻筋。軽く結ばれた口唇はとてもセクシーだ。
それに、輝もお風呂あがりだから石鹸の匂いとかするし。
いつもと違う感じで何か新鮮。


かっこいいよなぁ…。


キスしてぇ…。


「どうした?」
突然の輝の言葉にハッと我にかえる。

「あっ…いや…何でも…。」
「…そうか?だいぶ、モノ欲しそうな顔をしていたがな。」

笑いを含んだ声。うっ…やっぱり見透かされたか。俺はガクリと肩を落とした。
俺はこんなに余裕ないのに。逆に輝ときたら、随分余裕で。
首をその角度のまま目を細めたりして。そして軽く微笑んできた。

「…光政?」

…しかも、俺のほっぺたを、ふにふにつねりながら。

だ〜か〜ら〜さぁぁぁ!!!!
すること成すことカッコイイんだってば!!!
ときめくんだってばぁぁっっっ!!!!

キスしたい欲望がぐるぐる回ってて、頭の中でごろんごろんと暴れる。
よ…よし。オトコ、月本光政。勇気をふりしぼっちゃうぞ…。


「…て、てる!!」
「ん?」
「あ、あのさ…。」
「…何だ?」

ふにふにする手はそのままで、輝が眉をすっと上げる。
いつも、わがまま聞いてくれるときの顔。
うわぁぁぁ〜〜俺、この表情かなり弱いんだよなぁ…。

「キ…キスして…欲しいんだけど…。」

うわ…めっちゃ恥ずかしい…。俺は顔を赤くしながら俯く。

少し目を見開いたものの、輝は満足そうに口の端を上げた。
そして、頬をつねっていた指で口唇に触れてきた。
その、くすぐったさに顔をしかめると輝が楽しそうに笑う。

「突然、どうしたんだ?」
「だ、駄目なのかよ!」
「いや、それはかまわんが…。そうだな…たまには、お前からしてみろ。」
「ええええ〜〜〜〜!?」
「嫌ならいいぞ?」

輝が、にやりと笑う。
こいつ…!俺が断らないのをいいことに漬け込んできて!!!
俺は輝にして欲しいのにぃぃぃ!!
そんな風に心の中でぶーたれてみるが仕方ない。

俺は、おそるおそる輝に顔を近付ける。
うう〜…何でこんなに緊張するんだよ〜!!!
恥ずかしくて、思わず瞼をきつく閉じる。


そして、輝の口唇にちゅ、と自分の口唇をくっつけた。


「ん……。」

輝の口唇は、薄いけど、凄く柔らかい。
おずおずと舌を差し入れてみる。
歯列はあっさり割れ、俺は輝の舌に自分のソレを絡めた。

「んっ…ぅん……。」

透き通る様なミント香りが鼻を抜ける。歯磨き粉の味だ。
あ。俺、ファンタ飲んじゃった。歯磨き、後でついてきてもらおう。
そんな事を考えながら、丁寧に一生懸命絡め、ちゅるん、と離す。
ふと見るとキスしたせいか、輝の口唇がグロスを引いたように艶めいていた。

あわわ…何か恥ずかしいぞ…。

「甘い…。」
輝が機嫌悪そうに零す。甘い…??
「あ。そういや俺、ファンタ飲んでた。」
「まったくお前は…。」
しかめっ面の輝。あ〜あまり好きじゃないもんね。ああいう飲み物。

ふと、輝がヒョイと俺の身体をベッドに倒した。
あ、あれ?俺の視界が輝でいっぱいになる。
わわわ…あんまり見つめるなって…。
くっつきそうな距離で見つめられながら、指で口唇を撫でられる。
何か意図をもっての、その行為に心臓が忙しなく脈打つ。

「な、何…。」
「いや、期待に…添えないとなと思ってな。」
そういって輝は、指を差し入れてきた。

「…口。」
開けろ、と甘く囁かれる声。

うわーっ!うわーっ!!くるよ!!くるよくるよくるよ〜〜!!!!

その熱にくらくらしながら少し口を開けた。
そして、ゆっくりと噛み付くようにキスをされた。



うっわ…マジ気持ちいい…。



「んぅ…ふ…っ…。」

鼻から甘い声が抜けた。輝とのキスは、何とも言い難い気持ちになる。
優しいけど…少し強引で。甘くて、頭がぼうっとして…。
二枚の舌先が妖艶に絡まる。輝は何度も角度を変えて口腔を犯してきた。
離れる度に鳴る、ちゅ、ちゅ、という音が何かエロい。
顎を軽く持ち上げられ、何度も何度も。
口唇の端からは飲み込み切れない唾液が薄く筋を引く。

こいつ…やっぱキスうま…。

何も考えられないくらい、酔わされて。
最後に舌先をぢゅっ、と強く吸われた。

あ…。やっばー…。

あまりにもの甘さに思考がストンと落ちた。
それを見計らって、輝は口を離す。

「ふにゃ〜…。」

腰が抜けるかと思った。そう言っても過言ではない。
声も、眼も潤んだような甘さが滲む。

「何だ?まだ慣れないのか?」

余裕たっぷりの輝。甘さにでろんでろんの俺。
何だよ…もっと息を上げるとか…。もっとこう…同等な立場っていう風にさぁ…。
ぷうっと膨れる俺を楽しそうに輝が見つめる。

俺はあまりにも悔しくて仕返しをしてやろうと思い、輝の顔を両手で掴む。
そして下唇を、はむっと噛んでやると「コラ。」と怒られた。

「お前はバカか…。」
べしっと俺の顔を引き剥がし、輝が下唇を指で拭う。

「だって〜〜!!」
「だってじゃない。」
「なんか悔しいじゃん!俺ばっかり余裕ないって!!」
「余裕…?…俺にあるわけないだろう?」

お前には振り回されっぱなしだ。そう言いながら髪を撫でられる。

「髪、だいぶ伸びたな。」
「あー、かーちゃんとかからは暑苦しいから切れって言われちまってるけどな。」
「そうなのか?俺は今の方が可愛いと思うけどな。」

う〜…!!!またそんな事すると何も言えなくなるじゃんか〜…。
やっぱり俺のほうが余裕なくて、カッコ悪くて。
でも…心臓があったかいのは何故だろう…???

「なぁ…。」
「…ん?」
「……輝にいっぱい優しくしてほしい…。」

俺のそんな要望に、輝はまたちょっとだけ困ったように笑った。

それから、俺は。

輝からキスされて。輝から抱きしめられて。
輝から撫でられて。輝から囁かれて。

輝の温もりに、一晩中ぬくぬくと甘やかされた。


END
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