SS.WORST ♯2

□柳さんに胃薬を〜其の参〜
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「あっちぃ〜!!本当に5月かぁ〜??」

暑さに耐えかねたらしい好誠が皮ジャンをバサリと脱いだ。
中は勿論…何も着ていない。キレイな筋肉が外気に触れる。

元々体温が高い事もあって、好誠はあまり中に服を着たがらない。
しかし…俺には最高に目の毒だ。

「こ、好誠!またそんな…な、何か着ろ!」
「暑いから、い・や・だ。」

この我が儘な女王様は、更にベルトのバックルにまで手をかけ始めた。
とんでもない事態に、心臓が飛び出そうになる。

「おい!し、下まで脱ぐ気かっ!!?」
「あぁ?いいじゃねぇか。野郎同士だし。」
「いいわけねぇだろおおっっっ!!!」
「つーか、お前。俺の裸なんて見慣れてンじゃん。」
「っ…!そういう問題じゃないっ…!!!」

俺の、あまりの剣幕に好誠が渋々といった風に口を尖らせた。

「ちぇ、わかったよ。じゃあ、何か着るモン寄越せ。」

どうやら、他に着るものを持ってきていないらしい。
おいおい…勘弁してくれよ…。何かあったかな…服。



「あっ!やっぱいい。俺、持ってた。」

持っていた服を思い出したらしい好誠が、
手をぽんと叩いて、持っていたバッグをあさりだす。

よかった…これで服を着て貰える。



「ん…?」

好誠が取り出したシャツを羽織る。それに俺は違和感を覚えた。

色や柄。それの、どれもこれもが、
持ち主であるはずの好誠にあまりにもしっくりと来ていなかった。



それより、なにより。明らかにおかしい所。



明らかに好誠より大きな肩幅の布地。



指先までもすっぽり隠す長い袖。



父親の…?いや、好誠の所は母親だけだ。



見た所、誰かに借りた服を洗濯して返そうとして持っていた様だが…?

雨にでも降られたか…?いや雨は夏日のせいでここ数日降っていない。

それ以外に、服を借りる様な事って…。



まさか…まさか…まさかまさかまさか………!!!!!



「あーやっぱ、ちょっとデカいな…あいつのは。」
「誰に借りたァーーーーーッ!!!!」

END
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