SS.WORST ♯2

□柳さんに胃薬を〜其の弐〜
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好誠が唐突にこんな事を言いだした。

「絵本は読むものじゃなくて読んで貰うものなんだってよ。」

そんな知識を何処から仕入れてきたのか。
でも、楽しそうにそれを披露する好誠に思わず顔が緩む。

「っつー事で、今から俺が柳に読んでやるよ。」
「おいおい…もうそんな歳じゃねぇよ。」
「大丈夫だよ。そこまで子供向けじゃねぇから。」

俺においでおいでと手招きしながら、自分が座っているソファの横を叩く。
仕方ねぇな…。この歳で、絵本を読んで貰う事になるなんて。
少し気恥ずかしさを感じながらも、大人しく好誠の横にすとんと座る。
すると、好誠が当たり前のように、しなだれかかってきた。
おいおい…俺は背もたれか?

「えーっと、…“アアッ駄目よ。主人が帰って来ちゃうわ”」

………!!????

「お…おい好誠!なんだその本は!」
「んあ?えっと、“肉体遊戯 濡れ堕ちる人妻”。」
「にくっ…!?か、官能小説じゃねぇか!」
「何でもいいじゃねぇか。黙って聞いてろよ。」

好誠にジロリと制されて、俺は言葉を呑むこむしかなかった。

しかし…。

「“そんな所、舐めないで”」

「“いやっ、縛らないで。縛られるのはもう嫌なの”」

「“許して。お願い、もうイきたくない。許して”」

淫猥な言葉の連続。好誠の声で聞くと、まるで好誠が…。
い…いかん、いかん!!何を考えているんだ俺は!!!
頭の中に悶々と浮かぶ、責め嬲られるしどけない好誠を慌てて消す。


「こ、好誠…!頼むから待ってくれ…!」
「あぁ?子供向けは嫌っつったのお前だろ?」
「いや、それ以前に…」


それ、もともと絵本じゃ…!!


「“ああ、やめて。主人に見つかるわ、丈さん”」
「ちょっと待て!その不吉な名前は何だ!!?」

END
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