SS.WORST ♯2
□柳さんに胃薬を〜其の壱〜
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甘えるように名前を呼ぶ、その声が好きだ。
「やーなぎ。」
「?…何だよ。」
見れば、好誠が俺に煙草を差し出していた。
「え?何…?」
「1本どうだ?」
あぁ、くれるのか。
さんきゅ、と。煙草を抜こうとした手が、空しく宙を泳ぐ。
好誠は、差し出した煙草をフイと避けた。でもって。
ちゅ。
「こ、好誠っ!!?」
「あはははは!!引っかかった!」
好誠は無邪気に笑って、子供の様に走って逃げていった。
口唇に残された柔らかな名残が、俺の神経を痺れさせていく。
この小悪魔め…!!!
END