SS.WORST ♯3
□舌先3分ゲーム
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「っ、ぷは…。」
「…いいぞ。さっきより上手になった。」
汚れていない顎を優しく誉められて、
こみ上げてくる嬉しさを、俺は上手く誤魔化す事が出来ない。
あんなに嫌がっていたはずなのに。
俺は、変だ。さっきから。心も身体も。
「次はこっちだな。」
「えっ…?あ、そこはっ…、うわッ…!!」
本間さんの指が、腹から恥ずかしい場所へと滑り落ちる。
しかし、布越しとはいえ、突然下腹部を押さえられて。
驚いた俺は、本間さんの首に慌ててしがみ付いた。
「………。」
本間さんの動きが、固まる。
その反応に、マズイと思った俺は慌てて腕を解いた。
「すっ、すんません!!いきなり抱きついたりして…!!」
「………。」
「あ、あの…。」
しかし、そんな俺の腕を本間さんは無言で取ると、自分の首に再度巻きなおした。
一瞬呆気に取られたが、俺がこうやって抱きつく方がどうやらイイらしい。
身体全部を翻弄されて、俺の息は次第に短いものへと変化していく。
やわやわと膨らんだラインに添って、本間さんの指の腹が敏感な部分を撫でる。
「本、間さ…も、これ以上…は…。」
本間さんの腕を掴んで、制する。
力はすっかり抜けてしまっていたが、本間さんの動きを止める位は出来た。
「何だ。」
「駄目ですって…俺と、こんな事したら…。」
「やめて欲しいのか?そうは見えないが。」
「!?…それ、は…。」
恥ずかしいのに、やめて欲しいのに。…抗えない。
その事に、この人はとっくに気付いていた。
「すぐ終わる。…命令を触るだけにしてしまったからな。」
「あっ、ちょっ…!!」
ベルトを引かれ、くつろげたフロントからズルリと性器を引き出される。
キスと、たった数回のペッティングだけで既に半勃ちの自分に、俺は羞恥で顔を焼いた。
「乳首と同じ色をしている。スケベな色だ。」
「っ、ちょっ…!な、何でそんな事知ってるンですかっ!!」
「…さぁな。」
本間さんは俺の問いを誤魔化す様に、そう口元だけで笑って見せると、
俺の先端を掴み、上下にしごき始めた。
「うわっ…アッ、うわわっ…!!!」
最後に抜いてから数日経過している俺の快楽は、
本間さんの手によって簡単に引き出されていく。
腫れた先端はひくひくと奮え、本間さんの掌に甘えだす。
「ちょっ、本間さん…っ…マジ、俺…やばいですって…っ…!!」
「お前…さっきから色気が無いな。こういう場合はイク、って言うんだ。」
「??…い…く?」
「あぁ。やばいの代わりに言ってみろ。」
額にちゅっ、とキスを落とされて。そのままきつく抱き締められる。
その動きに合わせて本間さんにしがみ付くと、扱かれるスピードがグンと増した。
「う、ンッ…!!」
その動きに、ビクリと背中が無意識に跳ねる。
それを宥めるように、本間さんのもう片方の掌が背中を優しく撫でてきた。
強引なのか、優しいのか。本当に、この人はよく分からない。
「どうだ?ちゃんと気持ちよくなっているか?」
「ン…気、持ち、…いい…!!」
本間さんの声に従順な自分に、心臓の音が更に煩くなる。
あぁ、もう…俺、何やってンだろ…。
あんなに拒んでいたのに。
本間さんとキスだけじゃなく、マスまでかいてもらって…。
「はっ…あぁ…あぁあ…っ…!!」
霞んだ思考に浮かぶ最中、クチャクチャと粘着質のある音に耳を犯される。
脳天まで突き抜ける、暴れん坊の熱を持て余しながら、
俺は本間さんの背中にひたすら縋り続けた。
「っ、…本間さ…も、イく…!」
「もうか?もう少し我慢…。」
「嫌だ…も、イく…っ…我慢やだ…!!」
敬語を抜いた声は、まるで子どもの様だ。
理性を飛ばし、後先の事は何も考えず。
ただひたすら、欲しいものを相手に強請り続けるのみ。
こんな口の利き方して、怒られるかもと一瞬思ったけれど。
本間さんは俺の耳の後ろで少し息を呑んだだけだった。
「…わかった、出していいぞ。」
「ふぁ、あ。イく…、あっ、あぁ…!!」
カシャカシャと、本間さんの背中が俺の拳で皺になっていく。
でも、早急に追い込まれていく俺には、
その事に気を向けている余裕なんて無い。
「いく、イくっ…!!あぁっ、俺…っ…あっ、ああぁっ……!!」
「藤……。」
「本、間さ…っ…!!っ、〜〜〜!!!!」
出口を求めて暴れる快楽で、視界をじわじわと潤ませながら、
少しだけ身体を強張らせた後。
俺は、本間さんの綺麗な指を白濁で汚した。
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はぁ……。
俺はボンヤリと、ソファに気力が抜けきった身体を沈めていた。
キング本間は、達した俺のこめかみに慈しむようなキスを落とすと、
汚れを落としに、隣の洗面台へと姿を消していった。
つーか、つーか。
何で本間さんは俺にあんな事やこんな事を…。
一応、先輩に当たる男の腕の中で。
あらぬ声を出して、決して人に見せるものでは無い姿を晒したのだ。
き、キスも…沢山しちゃったし…。
一連の出来事を思い出しただけで、顔から火が出そうだ。
本間さんの命令内容も大変不可思議なものだが、
それより、最終的に受け入れちゃっていた自分の方がショックが大きい。
うわあああああ!!!明日からどんな顔して…!!!
「おー藤。遅くなって悪かったな。」
頭を抱え、一人百面相していた俺の目に飛び込んできたのは、
晴本さんと、他大勢の仲間達。
ついさっきまで非日常だったこの場に、日常が戻ってきて。
俺は自分が多大なる安心感に包まれていくのを感じた。
「うわああぁぁぁん!!晴本さぁぁぁぁぁん!!!!」
「おお?何だよ!藤。どうしたんだ!そんなに寂しかったのか!?」
「ううぅう…俺っ…俺ぇぇっっ…!!!」
晴本さんにヨシヨシと頭を撫でられる。
いつもはガキ扱いしないで下さいって文句言う所だけども、
今の俺はそんな元気も、それを気に掛ける余裕も無い。
「あぁ。戻りましたか?」
ビクッ!!!
本間さんの声に、つい無条件に反応してしまう。
さっき、俺とあんなエロい事やっていた癖に、
その表情はいつもの涼しいものだ。
あのポーカーフェイスもここまで来ると凄いものだ。
「おぉ、本間。留守番頼んですまんかったな。」
「いえ。車は救出出来たんですか?」
「おう、おかげさんでな!取り敢えず、アイツらも俺もヘトヘトだからよ。今日は皆帰す事にするわ。呼び出すだけ呼び出しておいて悪いな。次の集会はまた追って連絡するわ。」
「わかりました。…俺、ちょっと予定があるんで、これで失礼します。」
本間さんは乱れの無い動きでペコリとおじぎをすると、
次に俺の方をへと、視線を向けた。
「……じゃあな、藤。」
レンズ越しに意味深な笑みを浮かべ、微笑みかけられる。
そのメドゥーサさながらの視線に、俺はピシリと固まってしまった。
挨拶を返す事も忘れて、頬の温度だけが上がり続ける。
そんな俺が、ようやく動き出せたのは、
本間さんが、扉の向こうに消えてからだった。
「どうしたんだ?お前。何かあったのか?」
「へっ!??いやっ、な、何でも無いッスよっ!!やだなー頭ったら〜!」
「????」
突然愛想笑いを浮かべた俺を、晴本さんは訝しげに見つめていたが。
それっきり気に掛ける事もせず、煙草を咥えて椅子に腰掛けた。
「あん?何でこんな所に…?」
椅子に腰掛けた途端、晴本さんが首をかしげた。
見れば、晴本さんが手にしていたのは、さっきゲームで使った割り箸。
あぁ、しまった。捨てるの忘れていた。
…ま、それ所じゃなかったけどな。
「あぁ、すみません。俺、捨てて…」
………え?
晴本さんから受け取った割り箸を見て、俺は固まる。
何故なら、二本とも印なんてついていなかったからだ。
え?どういう事だ?だって王様ゲームはどちらかに印を付けて…。
『ほら、先に引かせてやるから』
あ…あぁ…。
ああああああああああああああああああああああ!!!!!!!
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一方、外では。
「…あ、しまった。」
俺とした事が。藤の奴、気付いちまったかな。
さて、どうしようかな。
…次の集会まで言い訳考えておかないと、な。
証拠を処分し忘れた事に、一人苦笑する本間が居た。
END