SS.WORST ♯1

□ロンリー・ハーツ・キラー
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「…ふっ……く…うっ…!」
「そう締めつけるな。そんなに強請らなくてもいくらでもくれてやる…。」
「…ちが…う…もういい加減に…抜け…って…!!」

それから、何度抱き合っただろう。
ケンカの後のえっちって、燃えるって聞くけど…。

何度も熱を放って萎えても、秀吉の雄は俺から一度も抜かれることなく。
また身の内で脈打ちだすのを感じて俺は身じろぐ。
逃げようとしても、のし掛かった秀吉に両腕を地面に縫いとめられた。
そのまま強く腰を押し付け、秀吉がゆるゆると動きだす。

「…やっ…!ん…っ…!!」

恥ずかしさを耐え、口唇を噛んで顔を背ける。
赤く熟れた実に軽く歯をたてて扱かれると、背がしなり、体が震えた。

「も…よせっ…て…っ…!!」
「感じてるくせに…なにを堪えてるんだ?オマエは。」
「ここ…家じゃな…んだから…そんな……したら帰れな…っ、あぁっ…!!」

小さく息を乱しながら俺は許しを乞うが、秀吉は聞き入れる様子が無い。
むしろ、それが逆に秀吉を楽しませる結果になっているのだということに俺は気を回す余裕が無かった。

秀吉から握られた手が熱い。
何よりも強力なその鎖は、俺の身も心も簡単に繋ぎとめてしまう。

「なるほど、そういうことか…だがこんなもんじゃ満たされないだろう?」

かすかに頭を振りながら見上げてたら、秀吉の漆黒の瞳と目が合った。

「俺も…」
「……あっ!!」
「お前もな。」

秀吉の腰を打ち付けるスピードが上がっていく。
揺さぶられながら、自分の中の秀吉の質量はどんどん増していった。
俺は思わず上ずった声を弾かれるように何度も放つ。

「秀吉…ん…っ…だめ…っ…あっ…!!」
「まったく…こっちの気も知らずに可愛い反抗期だよ…。」

今夜は、互いに自分の奥底にくすぶる独占欲を疼かせた。
求めるがままに触れたらきっと壊してしまう。

でも、俺達はその感情を無視する事が出来なかった。

「マサ…っ…!」

俺を封じていた手がより深く繋がる為に腰に回された。

「あっ…ひでよしっ…何か早っ…あっ、ああっ…!」

熱のこもった甘い吐息と、濡れた音が暗闇を覆いつくす。
がくがくと揺さぶられ、溶けたソコを何度もえぐられる。
咽喉が次第に仰け反ってくる。善すぎて、気が変になりそうだ。


「も…だ…めっ…いっちゃ…う…っ…!!!」

刹那、動きながら秀吉は俺の顎を捉えた。

やっ…うそ…だろ…っ!!
一瞬、躊躇ったが、感じる箇所を激しく貫かれ、思考はすぐに飛ばされる。

「あっ…んあぁーーっ…!!」

腰の奥底に、熱いものが叩きつけられたと同時に、目の前が白く霞む。
秀吉で埋め尽くされた視界の中で、俺は達した。

秀吉は俺のイク瞬間を一部始終その目に焼き付けたのだった。
目を合わせたまま達してしまった事に、俺は恥ずかしくて顔から火が出そうだった。


「も…サイテー…だぁ…。」

口を薄く開き、乱れた息を整えるべく、白く汚れた腹を上下に動かす。

「恥ずかしいじゃねーか…馬鹿…。」
「可愛かったぞ。」
「うぅ〜〜〜っ!!!」
「マサ…。」


額に頬に。柔らかく降り注ぐ、キスの雨。

へそを曲げた俺を、キスひとつでご機嫌にしてしまう。
それはたぶん、世界中探しても秀吉だけなんだろうな…。




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結局、帰路についたのは東の空が明るみだす早朝だった。

案の定、固い地面の上でヤられ過ぎた俺は足腰が立たなくなってしまい。
お恥ずかしながら、タクシーが捕まるまで秀吉におぶさられる羽目になっていた。

早朝だから、人があまり居ないのが救い。
秀吉の項に頬をくっつけて、俺は朝ぼらけの空を眺めていた。


「…そういえば、安心がどうのとか言っていたな?」

秀吉が前を向いたまま、口を開いた。


『俺のこと…全部手に入れたって安心してんだろ!!?』

『何があっても…っ…俺が離れないって保障は何処にも無いんだからな!』


昨夜の光景がフラッシュバックして、俺はちょっと居た堪れなくなった。

「……もういいよ、それは。ごめんな…ヤな事言って…。」
「…ま、言われたときは結構きつかったけどな。色々考えさせられた。」
「秀吉…?」
「正直言うと、お前が離れてしまうとか考えてなかった。…むしろ、考えないようにしていた。」
「…え?」
「お前が居なくなったら俺は死んでしまうから。」

いつにも無く、真面目な口調に俺はどう返事をしていいのか分からなくなった。
俺がいなくなったら…死ぬって…。

「そんな大袈裟な…。」
「それくらい執着しているんだ。」
「執着…?」
「怖いんだろうな。お前が俺の側から居なくなる事が…。」

そう言って、秀吉が車道に向かって片手を挙げた。
その合図によって、擦り寄ってきたタクシーが俺たちの会話を途絶えさせる。

「乗れるか?」
「あ、うん…。」

ゆっくりと地面に下ろされ、俺達はタクシーに乗り込んだ。
車の程よい振動が、俺の眠りを促す。
寝ててもいいぞ、という秀吉の言葉に、俺は甘えさせてもらう事にした。
まどろむ中、秀吉が俺の手を握ってくる。


『怖いんだろうな。お前が俺の側から居なくなる事が…。』
俺は秀吉が言った言葉を何度も頭の中で繰り返していた。



執着…か。

俺は、その優しい温もりを握り返して。秀吉の肩に頭を預けた。









翌日。

秀吉の名前で埋まった携帯の着信履歴を見て。
俺の心はまた、甘く疼くのだった。


END
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