SS.WORST ♯3

□金曜日のお砂糖メイド〜前編
1ページ/2ページ

※性的な表現が含まれています。自己責任で。

今日は光政と二人、買い物に出かけていた。
あっちへ行きたい、こっちへ行くと。
俺はこのお姫様に散々連れ回されていた。

そんな中、たまたま見つけた雑貨屋。
そこには光政が好きそうな原色の小物がひしめき合っており、
案の定、俺は光政に問答無用に手を掴まれ、
その明るい店内に引っ張り込まれた。

「あ、輝。これ買おうぜ。」

そんな光政に付き合って店内をうろついていた最中。
ふと見つけたメイド服を買うと言い出した自分の恋人に、
頭を抱えたくなったのは、入店して5分後程経った時。

「…なに馬鹿な事言ってるんだ。」
「えぇ〜!いいじゃん。マンネリ防止ってコトで。」

そう笑う姿は無邪気なもの。
まったく何処のどいつに、こんな入れ知恵されたんだ?と、
俺は、そんな光政の提案に再度頭を抱えたくなった。

「とにかく却下だ。」
「何だよーたまにはコスチュームプレイとか良くねぇ?」
「良くない。」

健や他の連中にそんな物買った事がばれてみろ、
変態呼ばわりされるぞと散々止めたのだが。
光政の方は相当ノリ気で、『楽しそうじゃねぇか』と笑うばかり。

「光政…とにかくそれだけは止しておけ。」
「えぇ〜何だよ。お前だってこういうの嫌いじゃないだろ〜?」

光政に痛い所を突かれた俺は、思わず息を呑む。
…確かに…嫌いじゃないと言い切れないのが悲しい男の性なのだが。

「俺…今夜、輝の家に泊まろうかな…?」
「……!」

光政の突然の提案に、俺の頭の中はえらい事になる。

確かに、今日は家族は各々の都合で全員留守だ。
こういうのも何だが…今夜は思いっきりヤれる環境。
いやいや。だが、それとこれとは話は別問題だ。

「サービスするよ?ご主人様。」

光政は、そんな俺の苦悩など気にする事なく。

メイド服を抱え、愛らしい笑顔で小首をちょっぴり傾けて。
しかも、そんな身体が硬直してしまう言葉をポソリと囁いてきて。
そして更には、ウインクまで見せてきたのだった。

結局、俺は愛する光政のおねだりと、自分の欲求に勝てなかった。

「………誰が買うんだ?」
「お・ま・え。」
「………。」

俺は再び頭を抱えたくなった。


**********************


パーティ用と言うには少し辛い、短すぎるスカートのメイド服。
まるで、そういうコトの為に用意されたような衣装。
それを着て、微笑みながら俺を『ご主人様』と呼ぶ光政。

勘弁してくれ…。

うっかりそんな光政を想像してしまい、俺は赤くなった顔を手のひらで隠した。
結局は俺も男。例え想像だけでもまずくなる。

光政は、自分が一番惚れている相手だ。
その彼が、あれを着て、いやらしくなるのだ。
それを想像するだけで、ドクドクと欲望が脈打つ。
しかし、それとは逆に。次第に緊張していく自分にも気付く。

まったく光政め…やっぱやめるとか言っても聞かないからな…。

すでに反応してしまいそうになっている身体に、
俺は盛大に溜め息を吐きだした。


「じゃーん!」
「……!!」

着替えを終えたらしい光政が、俺の目の前に登場した。

「へへへ〜どう?ご主人様♪」

光政が、得意げにくるりと回って見せる。

黒いワンピースに白いエプロン。それにヘッドドレス。
見るからに『メイド服』ではあるが、このスカートの短さはやはりおかしい。
こんなメイドが本当にいたら、誰もがその主人の趣味を疑う事だろう。

そして、いつもは自分を呼び捨てにしている声が「ご主人様」と呼んでくる。
それが一層、元から男に根付く、征服欲を掻き立ててくる。

それにしても…何だ?この愛らしさは。
光政に惚れているという色眼鏡を取っ払ったとしても、
この着衣した服とのしっくりとした相性は、目を瞠る。
それ位、光政のメイド姿というのは、似合っていた。

「もしかして…似合わない?」
「えっ?」

見惚れるあまり、無言になってしまった俺を、
光政が誤解して、悲しそうにしゅんと肩を下げる。

「そういうわけじゃ…。」
「あぁ?じゃあ、どういうわけなんだよ。」

言葉を濁す俺に、今度は目くじらを立ててくる。
おいおい、ご主人様じゃないのか?俺は。

「に…似合いすぎていて見惚れてた。」

そう正直に弁解すると、光政の顔はきゅるんと明るくなる。

もう…お前のご機嫌取りは、心臓がいくつあっても足りねぇよ…。
俺は気を取り直し、少し身体をずらすとベッドへと光政を誘った。

「…こっちに来い。」

ベッドに乗ってきた光政のスカートに手を差し込むと、
光政の身体がぴくん、と小さく揺れた。

「あっ…!」

掌の、思わぬ素肌の感触に息を呑む。
…やっぱり下着は着けないんだな。

スカートの中は、太腿を愛らしく飾っているガーターストッキングのみ。
同じ男同士故か、どういう格好をしたら男が喜ぶか。
把握し、成りきっている所が、小憎たらしい。

「何も着けてないんだな…?」
「や…ぁ…ご主人様…。」
「はしたないメイドだ。」

メイド服を着た時から光政の演技は始まっているらしい。
俺の前で光政は本物のメイドのように振る舞っていく。

何もこんな所で演技の才能を見せてくれなくてもいいんだがな…。

しかし、こっちもそれに合わせた演技を見せていけば、
光政の体が更に興奮していく様子が見えた。

「…俺の服も、脱がせてくれ。」

始めてしまえば抵抗も無くなっていき、命令口調も普段通りに口にしていける。
普段と違うシチュエーションに光政も感じていて。
俺が命令するたびに、興奮している事が伝わってきた。

いつもは何か言うたびに食って掛かってくるのにな。
衣装ひとつで、こんなに変わるものなのか。

「失礼…します。」

光政は顔を赤くしたまま、俺のシャツのボタンをプチプチと離していく。
腰のベルトを引き抜き、ズボンのフロント部分のジッパーを下ろしかけた所で、
何を思ったのか、光政はピタリと手を止めた。

「どうした?」
「……。」

何かを求めるように光政が視線を上げてきた。
何を求めているのか、それは簡単に想像出来た。

「手を後ろに。…こっちに向けろ。」

光政は両腕を自ら後ろに回すと、ゆっくりとこちらに背を向けた。
俺はその両手首をベルトでひとつに纏めると、ギリッと縛り上げた。

「っ…!!」

痛みからか、光政の首が前にだらりと下がった。
しかし、それに構うなんて。そんな野暮な事はしない。
それに、メイドの手袋は手首まである。
少し強めに縛り付けても、痕は残らないだろう。

本当に稀に、だが。光政は俺に酷くされたがる。
「主人」と「メイド」という、このシチュエーションが、
光政をそうさせたのだろう。

「…舐めろ。」

そして、きっとこう言って欲しいのだろう。
そう思い、命令を出した俺に、光政は嬉しそうに目を細めた。
俺がどんなに光政を虐げようとも、全ては光政の求める事なのだ。

全く。どっちが主導権を握っているのやら…。

「はい…ご主人様。」

だがそんな返事を向けてくる光政を見ていると、
これはこれでいいかなどと思ってしまう、浅はかな俺。
主導権など、最初からどちらのものかなんて決まっている。

…恋愛は惚れた方の負けなのだ。

光政が歯をつかって、ジッパーを下ろしていく。
そして開いたフロントに口を埋めると、ズルリと俺のモノを取り出した。

そして光政は、今まで何度もした事のある行為を、
照れた表情を見せて始めていった。

「ん…っ…む…。」

自身に触れてきた、濡れた舌先の感触に俺は、ぐっと息を呑む。

見下ろした先の光景にぐらりと目眩を起こしそうになりながらも、
必死に理性を繋ぎとめ、射精の感覚を抑えつける。
ヘッドドレスの下の表情は恍惚に溶け落ち、
時折見える赤い舌は、激しくペロペロと上下に動き回っていた。

「っ…ん、っく……!!」

光政が、時折苦しそうに喉を鳴らす。
しかし、声は甘く掠れていて、嫌がっている様子は全く無い。
むしろ、逆に喜んでいるようにも見えなくもなかった。

「ご…主人様…ぁ…。」

光政の甘い声に思わず手を口に当てる。

俺は、最後まで耐えられるだろうか。
このままだと、鼻血の一つでも出てしまいそうだ。
俺はそれ程興奮していた。

「んっ、ん…ぁ…む…ン……!!」

ぢゅっ、ちゅっと。濡れた音が激しさを増していく。

まるでわざと出しているのではないかと言いたくなる程に、
俺は、その音に意識が集中してしまっていた。

「光政…もういい。…離せ。」

すぐにでも達してしまいそうになり、俺はそう声を向けた。

すると顔を離さないまま、光政は眉を寄せる。
『このまま達しろ』と。無言の態度で、そう伝えてきた。

とんでもない駄々に、眩暈を起こしそうになる。
しかし、こればかりは男の沽券に関わる話だ。

「駄目だ…離せ。」
「何で…?ご主人様の呑みたい…。」

このアンバランスさは何なのだろう。
頭が混乱してしまいそうだ。

今までの経験から、こういう場合は黙って言う事を聞くに限る。
諦めた俺は、光政の柔らかい髪の毛へと手を伸ばし、
了承の意味を込めて、さらりさらりと光政の頭を撫でていった。
それだけで嬉しそうな表情を見せた光政は行為を再開する。

俺色に染め上げてある舌技に、絶頂はすぐに訪れ、
撫でていた手で、光政の頭をぐぐっと押付けると、
光政の言葉通り、吐き出された精液はそのまま光政の喉へと叩きつけた。

「ん…っく…ーーーーン!!!」

俺の勢いに、流石の光政も苦悶の表情を見せる。
ベルトで締め上げた腕が、無意識に動いているらしく、
ギシギシと皮の軋む音が耳を犯した。

「んん、ん…!!」

吐精の最中も、光政は口腔の肉を狭くして搾取していく。
甘く蕩けそうな口内に、目の前が真っ赤に充血した。

とくん、とくん、と。緩やかになる肉脈をちゅっと啜り、
光政はその桜桃の様な口唇を離した。

「すっげぇ濃い…。」

ほら、と。白い白濁に汚れた口内を俺に見せなから、
光政は舌先をゆっくりと動かしていった。
まるでシュガーコーティングされた菓子の様な舌先に目を奪われる。

ごくり、と動いていく喉を見ながら、俺は悩んでいた。

次はどんな命令を下せばいいのだろうか。
まだまだ、夜は終わりそうに無い。


END
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ