その手を
引き止めてしまったのは
ただ君に触れたかったから





この世のすべてを手に入れた私は、これ以上に何を望むの?
忘れてしまった温もり。
(私が欲しいのは、あなたといた過去だけ。)



愛してる。この一言に苦しむ僕は、いつか君を見失うかもしれない。その後の喪失感を知りながら、それでも僕は追いかける。
(そうそれは、まだ知らない、彼女の温もり。)



この世界、この日常など、
砂の雫一粒程のもの。

そんなことは分かっている。

君がいなくなった。いつも目にしていた日常に、ただ一人、たった一人、いなくなっただけ。

ただそれだけなのに。

(溢れる涙は止まらない。)

いくら涙を流しても、瞼を上げた先に君の影はなく、世界は何事もないかのように回っていく。


この世界、君の存在など、砂の雫一粒程のものなのに。


僕にとっての君の存在は、僕が思っていたより遥かに大きく、そして儚いものだったのだ。


今頃になってそれに気付く僕を、君は愚かと笑うだろうか。

(崩れた日常、もう元に戻すことはできないの。)





好き。耳元にかかるその吐息も、背中に感じる手のひらの温度も、唇から伝わる熱も。全部全部私のものだった。(忘れてしまうの?)

あなたを愛したこの記憶も、あなたを求めたこの気持ちも、あなたに愛されたこの喜びも。(いつか、消えてしまう。)

悲しい世界に罰を与えて、それでもきっと失くなって。(そうゆうものなの?)

例えようのない虚無感に襲われる私は、そっと煙草を手に取った。

今ならまだ、覚えてる。あなたの仕草。

(忘れるなんて、悲しいの。)




腐った世界。不安に駆られ、いつのまにか置いていかれて。自分を憎んで。ひたすらと、変わらぬ愛を願う。

好きだとか、嫌いだとか。どうでもいい言葉。

未来を見つけられずに、ただただ絶望的な世界で呼吸する。

そこに光があると言ったあなたとは、もう目を合わすこともない。

欲しいのは、永遠。


(そんなの、叶うわけないでしょ)




届かない。(どうして?)
届いているのに。(気付いているはず)


あなたの瞳に私を写せば、そこにいたのは知らない女だった。

あなたと私、決して繋がることはない。


(それでも、私はあなたを愛していたい。)


だから、早く言って。


今吸い込んだ、
その言葉を。


(もう、耐えられそうにない)


poem:4



[TOPへ]
[カスタマイズ]




©フォレストページ