薄紅色の唇に、静かに佇む赤い薔薇。如何にこの手が引き裂かれようとも、辿りはつかぬその瞳。ならばいっそ、その指だけでも道連れに。


青い空は赤く染まり、白く美しい花は灰色に染まった。黄色い蝶は黒へと変わり、錆びれた空へ導く。それらは全て、あなたのいない、私の世界。


空を紡いで雲を紡いで星を紡いだその先に。見えたのは転がった腕。聞こえるのは誰かの泣き声。神の声が聞けたなら、避けることができただろうか。手遅れな、この現実を。





私はさ、あなたの手を離したつもりはなかったんだ。君の仕草も忘れたわけじゃない。このままずっと、こんなふうに過ごして行くんだと思ってた。これまでの日常が音をたてて消えたのは、あなたの一言に、私達の未来が怯えてしまったから。「頑張って」そんな言葉、私は望んでなんかない。他人行儀なあなたに静かに涙を見せていたら、何か変わっていたのかしら?。もしもこの先の未来にあなたが立っていないのなら、私は喜んで叫ぶよ。心の底から、あなたを愛していたと。たとえその時、あなたが他の誰かと笑っていたとしても。


そう。これが私からの最後の言葉。





大嫌いなあなた。その手もその声も、その温もりも。全部全部大嫌い。あなたが残したこの思い出だってひたすら私を苦しめるだけ。あなたを考えれば考える程、涙が溢れるだけ。だから私はあなたの事が大嫌いよ。かつて愛したあなたの事が。





あなたと私とただそれだけ。私が願ったのはそれだけなのに。季節と時間は過ぎ去って、私はあなたに何を求めていたの?欲望を振り払って、履いてた靴も脱ぎさって、あなたの手を掴んでいたら。ましな現実に進んでいた?

(いいえ、これも運命)

そうね。きっと私は一人になって、まだ見ぬあなたに引き寄せられてく。そうゆう運命。





助けて助けてたすけてタスケテ。誰か私を必要として。辛いときには傍にいて。涙のつたう夜には抱き締めて。まっすぐ手を伸ばして叫んでも、瞼を上げた先に、温もりなんてなくて。
あるのはただ、あなたの残した吸殻ひとつ。


poem:3





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