連載ブック

□ほんとのほんとに両思い?
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『行ってきます。』


玄関のドアを閉め、鏡を開く。


(うわ、クマひどっ。)


昨日はあれから落ち着かず、ほとんど眠れなかった。

(総悟とどんな顔して会えばいいんだろ。)


きっと、両思いである。

眠れない頭で考えた結論。



「なんでェその顔。不細工な顔が余計不細工になってらァ。」


ドキッと心臓が飛び跳ねた。
寝不足の元凶が目の前に現われたからだ。


(誰のせいだと思ってんのよ。)


『お、おはよ…。』


総悟と目を合わすことなく先を歩く。


いろいろ聞きたいことあったはずなのに。いざ総悟を前にすると、どういう顔していいのか分からない。


総悟のことさけたいわけじゃない。ただ恥ずかしさのあまり、どうしても早足になってしまう。


「おい。」


ぐい。と肩を捕まれた。


「何怒ってんでィ。」


『お、怒ってない。』


総悟の顔が見れず、背中を向けたままで答えた。




「もしかして…昨日のことっすか?」




確信をつかれ、自分の顔が赤くなっていくのが分かる。


『きっ!昨日のことは関係ない!!』


私はそのまま走りだした。

なんで?なんで総悟はそんなに普通なわけ?


好きなら好きって早く言ってほしい。それが私の本音だ。

けれど総悟はいつもと全く変わらない。意識してるそぶりもない。


昨日眠れない中考えた、「両思い」という結論は、私の思い過ごしなのかもしれない。

いつもの…気まぐれだったのかもしれない。




どうしよう。なんだか悲しくなってきた。


バカ総悟。
何考えてるのか教えろ…!






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