連載ブック

□ドキドキするのは変ですか?
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『もうやだ…総悟と顔合わせられない…』


ベッドにもぐり、ボソッと呟いた。


「なんで?」


ガバッ。と布団から起きると、ドアの所にスエット姿の総悟。


ズカズカと部屋に入って来るなり、ドスン。とベッドの横に腰を下ろす。


『そ、総悟…!』


「伝言でさァ。お前の彼氏から。」


あ、そう言えばあのまま連絡してない…


「別れよう。ってさ。」


『…そう。』


「あり?泣くかと思って楽しみにしてたのに。」


『最っ低。』


私は総悟の顔が見れず、布団にもぐった。


「そういや今日、キスしてやしたねィ。」


『…。』


総悟の言葉に答えられないでいると、ふいに差し込んだ眩しい光。


次の瞬間、目の前に総悟の顔。


『ちょっ…!…っっ!』


押し付けられた唇からねじ込まれる舌先が、私の口内をかき回す。


夕方のキスとは違う、総悟のキス。


(嘘…!?なんで…!?)


『そっ、そ…ご…!』



私の両腕は、総悟にしっかり握られていた。


何回も重ねられる唇。
静かな部屋に、響き渡るキスの音。


『…苦し…い……』


長い長いキスのあと、総悟はやっと、唇を離した。



「消毒。」



謝ることもせず、一言そう言って、「じゃ。」と部屋を出ていった。


階段を降りる総悟の足音。


なんで?どうして?一体何考えてんの?


昔っから憎たらしくて何考えてるか分からない奴だった。





どうしよう。



私…変になったかもしれない。


鳴り止まない私の心臓。



いきなりキスされて、普通なら嫌がるはずなのに…




私は今、ひどくドキドキしている。





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