連載ブック
□ファーストキスってこんなもの?
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なんだろう。このモヤモヤ。
なんか、違う。
恋って…こんなものなの?
「##NAME1##ちゃん。キスしていい?」
『え!?』
ふいをつかれた言葉に、思わず声が大きくなった。
しかし私を見つめる彼は、どうやらこういう状況に慣れているようだ。
私はというと、もちろん初めてで、どうしていいのか分からない。
ただ…
目の前の彼に対し、私の心臓はひどく落ち着いている。
あぁ、そうか。私が感じているもやもやというのは、そういうことか。
私はこの人に、何も望んでないんだ。だから、彼に対するドキドキもない。
『あ、あの…ごめん、今日はっ…!』
ふいに奪われたファーストキス。
(うそ…キスしてる…。)
押し退けようとしたその時、彼の向こうの総悟と目が合った。
(み…見られた… )
『ご、ごめん!今日はもう帰るね!』
彼から離れ、早口でそう言って、目も合わさず走り去る。
(どうしよう、どうしよう、どうしよう、どうしよう…!)
まさか見られるなんて…!
キスしてるときは落ち着いていた私の心臓。
今になって上がっている心拍数はなに?
走ってるから?
キスしてるとこ見られたから?
総悟に見られたから?
総悟だから?
・・・・・
「おい!まじで3日以内にキスしやがったぜこいつ!」
「すげぇ!あの子絶対初めてだったよな?」
「余裕だっつの。はい、賭けは俺の勝ち〜」
「ちぇー。つかお前明日からどーすんの?あの子。」
「適当に別れる。」
「んっと鬼だなお前。」
トン。
「何の話してんすか?
俺もまぜてくれやせんかねィ?
その…賭けってやつに。」