連載ブック

□部屋にて待つのは隣のあいつ
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『ただいまぁ。』

ガチャリ。とドアを開けると、大きめの運動靴が目に入る。

(こ、これは…)

「あら、おかえりなさい。総ちゃん来てるわよ。あんたに話があるってさ。」


(…やっぱり。)


二階への階段を上がると、自分の部屋から聞こえるテレビの音と、ボリボリと、ポテチを食べる音。



『話って何。』

「遅ェ。この総悟様を待たすたぁ、いい度胸してんな。」


待たせてない。断じて待たせてない。

あんたが勝手に待ってただけでしょうが…!

それに何より、人のベッドの上でお菓子食べるな…!

『で、何?話って。』


ベッドが占領されているので、仕方なく床へと腰を下ろした。


「今日一緒にいたやつ誰でィ。」

(う"っ…!)

いきなり聞かれたくないことを聞かれ、顔が強張った。

み、見られてたの…?
てっきり総悟は部活かと思ってたのに…。


「誰だよ。」

こうなったら隠しても仕方ない。

『か、彼氏。』

「いつから?」

『昨日から。告白されたの。』

「ぶっ。」

総悟はいきなり吹き出すと、ゲラゲラ笑った。

…もぉ〜!やっぱり憎たらしい…!

『なんで笑うのよ!!』

「お前に告白って、相当もの好きじゃねぇとできねェもんでさァ。遊ばれてんじゃねーの?」

『そんなことないもん!総悟と一緒にしないでよね!すっごく優しくて格好いいんだから!』


「ふぅん。」


総悟は寝転んでいた体を起こすと、じっと私を見た。

「お前、ほんとにそいつが好きなんですかィ?」


ドキリ。となる私はおかしいだろうか?

でもまだ付き合って二日目だし。好きって程でも…
そもそもこんな気持ちでOKしたことが間違ってる気がしてきた…。
あぁ〜めんどくさい!


『好きに決まってんじゃん!当たり前でしょ!』


「ふぅん。いつから?」


『きっ、昨日から…。』


「で、どこに惚れたんでィ。」


『や、優しいところ…?』

「ぷっ、そんなん誰だって最初は優しくするもんだろ。」


ムカッ。


『何よ!あんたに関係ないでしょ!私は私で楽しんで付き合ってんだからいいじゃない!』


あー、すっきり。


「……あっそ。」


食べ終わったポテチの袋を片付けることもなく、総悟は部屋を出ていった。


階段を降りる足音に、「もう帰るの?」と言う母の声。それに対する総悟の外面の声が聞こえると、玄関のドアが開き、ガチャリと閉まった。




(…何よ。何なのよ。…なんであんたが怒んのよ。)





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