少年陰陽師
□静かな音色を守り抜け
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何故、寝ているのだろう?
倒れた?それにしては、寝起きの身体は辛くない。体調を崩したなら、辛い筈なのに……
そんなことを呆然と考えていた。
《起きたか。》
「勾陳……ずっとここに?」
《まぁな。》
幼い頃、自分が言った唯一の大きな我が侭。
それは、目覚めたときに1人ではないこと。
「ごめんなさい……」
そんな幼い頃の我が侭に、お祖父様の大事な式神を付き合わせている。
それが、申し訳なくてーー
《気にするな。》
頭を撫でる優しい手の感触。
彼女は何故こんなにも感情を汲み取るのが、上手いのだろう。
そして、素晴らしいタイミングで欲しい言葉をかけてくれる。
《起きれるか?晴明が呼んでいるんだが……》
「大丈夫!」
心配をかけてはいけない。
それに、無理をする程身体は辛くなかった。
起き上がり、ふと空を見上げる。
そこには、宵闇の中でも、その闇に呑まれることのない星が瞬く。
「そういえば、兄様もう帰って来たの?」
《………あぁ。さぁ、晴明のところへ行くぞ。》
「う、うん。」
先に部屋を後にした明浩は気付かなかった。
勾陳が昌浩の自室を複雑な表情で、見つめていたことにーー