少年陰陽師
□静かな音色を守り抜け
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《明浩……》
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《……いい加減にしろ。明日も出来るだろ。》
簀に一人の少年が座って、まるで、その声が聞こえていないかのように横笛を吹き続けている。
《まったく……》
一人しかいないはずの簀に女性が急に現れる。肩で切り揃えられた黒髪を揺らし、露出した腕や足は寒々しい。
少年の真後ろに立った女性は、問答無用で横笛を取りあげた。
「わっ、勾陳何するの?」
「病み上がりなんだ。もう休んだらどうだ?」
「兄様がまだ帰ってきてないんだ。兄様が帰ってく「るまででもだめだ。」
「勾陳…」
少年はよほど不満なのか、女性を睨み付けた。しかし、女性には効果がないらしい。
「待つなら部屋に入れ。そうするなら私も文句は言わない。」
「……分かった。」
少年は不本意ながらも部屋に移るための行動を起こした。