少年陰陽師
□静かな音色を守り抜け
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黒く濁ったその瞳は、果てしない闇を想像させる。そして、うずくまる明浩を冷たく見下ろしていた。
《宴があるのだろう。そこで、お前はこの笛を吹くだけで良い。》
「そんなこと……出来るわけ……」
何が起こるか多くは語っていない。けれど、容易に想像出来た。
「どれ程の人が、犠牲になると思ってるの!」
都で多発している横笛の事件。そして、犯人が持つ横笛には犠牲になった数多の魂。
つまり、宴に来た人の魂を明浩に奪い取れと、言っているのだった。
《人間がどうなろうと知ったことか。》
「そんな……」
纏うのは十二神将と同じ馴染みのある神気。でも、みんなは絶対こんなこと言わない。
それは、主の願いに反することだからーー
《お前は拒まない。家族を殺したくはないだろう?》
「どういうこと?何言ってるの??」
《知らないのか……余程、頼りにされてないとみえる。》
鼻で笑い、ゴミ屑を見るような目付き。纏わりつく視線は明浩を離さない。
そして、耳元で甘い言葉を囁く。
お前しか家族を助けられないのだ、とーー