パラレル

□ROBOT 2
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珍しく本当に笑っていたから

興味が出た。



挨拶をすると、彼は微笑んだ。

別に何も感じなかった。



だから奪ってやることにした。













































































































寝食を忘れて、いつの間にか倒れていたらしい。


『君が   クン?』

目が覚めて一番初めに視界に入ってきた男は独特の笑い方で微笑んだ。

『・・・・・・・・・・・』

遥か昔地球で読まれていた童話に出てきた猫に似ていると思った。

名前は、確かチェシャ猫。


『           ?』


その猫が案内するまま、俺は某としたままの思考の中で頷いた。

物語の中の無知な少女のように。








































「もう一回言ってみて」
「だから『TSUNA』シリーズの、非公開アンドロイド拾った」

次の瞬間、友人に絞め殺されそうになった。








































【 彼を捜す者達 】







































「もう、一回、い」
「もうやだ。
お前絞め殺そうとするだろ」
「いや、殺さない。気絶程度に留めて」
「わかったもう何も話さない」
くるりと背を向けると今度はうざったい位に懇願してきたので適当に話してやった。


「じゃあ、あのリボーンが『TSUNA』シリーズの初号機大切にしてるって噂、本当だったんだ」
「大切・・・?」

果たしてその単語が当てはまるのだろうか。


彼の額に浮かんだ文字を思い出す。


・・・あれは大切にしているというんじゃなく、あの少年に狂っていただけだと思う。
普通あそこまでしない。
彼が人間だったらもっと大変だったんじゃないだろうか。

「あーもう、せめて写真だけでも撮っておいてくれればよかったのに」
「そんなのでアンドロイドの内部がわかるわけないだろ」
「いや、感情を持ってるってわかるだけで十分。
やっぱり綺麗な顔してた?」
「変態じゃなくても好みそうな顔ではあった」
「見たかったーーーーー!!
もしかしたらオリジナルと同じ顔だったかもしれないのに!!」
「オリジナルねえ」

アンドロイドのには大抵モデルがいる。
それは、全く知らない写真の人物だったり、開発者だったり、その家族だったり、

死んだ恋人だったり。

(・・・・まさかな)

顔と名前だけしか知らないが、リボーンは大層飽きっぽいと聞く。
あの容姿なら女は選り取り見取りだろうし、一人の人間に固執するタイプには見えなかった。





懐から写真を取り出す。

確かに懐っこくて研究対象としても面白かったのは否定しないけども。

「誰その子?」
「そのアンドロイドの写真」
「スパナーーーーー!!!
あるならそう言えよーーーーーーーーー!!!」














「ねーねー正ちゃんこの後さー って何やってんの?」
写真を奪おうと躍起になる正一と、何だか写真が喰われそうなのでヒョイヒョイと写真を逃がすスパナを面白そうに見る。

「社長」
「や、スパナ君も来てたんだ」
「白蘭さん、今取り込みちゅうなんで用なら後にして下さい!!!」
「何々、二人で遊んでるの?
ズルイよ、俺も混ぜてー」
「混ざるなーーーーー!!!」

何故か参戦しようとする白蘭に、正一が迷惑そうに叫んだ。
一番迷惑しているスパナは疲れてきたのかポィと写真を投げ出した。
ネガがあるから諦めたようだ。

ヒラヒラと宙を舞った写真は参戦しようとした白蘭の手に落ちる。
「写真?
やだなあ正ちゃん、ブロマイド欲しいなら幾らでもあげたのに」
「何が悲しくて白蘭さんの写真貰わなきゃいけないんですか!
ていうかそれ返して下さい!」
「元々正一のじゃないだろ」
ズコズコとシェイクを啜りながらスパナが突っ込む。当然どっちも聞いていない。

さーてどんな人なのかなーと正一の顔に手を置いて牽制しながら白蘭は写真を持ち上げる。





瞬間、室内の空気が一変した。






「ねえ・・・、正ちゃん」

声音が変わった白蘭に、正一はビクリと震える。

「コレ、どうしたの」
「え、と」
そろりとスパナを見る。
こっちに回すなと思ったが標的が自分に移った時点で諦めた。

「『TSUNA』シリーズ、初号機。
No00の寝顔写真」
「そうじゃなくて、俺が聞いてるのは何処で手に入れたかって聞いてるの」
彼が誰なのかは既に知っていると暗に告げることの眉を上げたが大人しく応えた。

「この間公園で拾った」
「公園で?」
「旧式だから。恐らく充電でもしてたんだと思う」
「この子と何か話した?」
「家出してきたって言ってた」
「それだけ?気付いたことは?」
「左腕上部の内部の破損。頭の回線の一部が少し損傷してた。
あとは、」
「あとは?」
「『それ以上触んな。殺されたいのか?』って額に描いてあった」
「ぶっ!」

途端笑い始めた上司に正一は一歩下がり、スパナはナゲットを口に放り込む。
因みにこのハンバーガーセットは全部正一に奢らせたものだ。
こんなことになるならもっと買わせれば良かった。



「まさかそんなことまでするなんてねー」
涙を拭き拭き白蘭は楽しそうに微笑む。

「流石アルコバレーノ・リボーン」
「知ってたんですか、あのリボーンのものだって」
正一が驚いたようにいう。
「そりゃそうだよ。同業者だもん」

写真を持ったまま出ていく白蘭を正一が呼び止める。

「白蘭さん!
(俺の写真持って)何処行くんですか!?」
この後重役の集まりがあるのに!

秘書として捨て置けないと言う正一に、白蘭は猫のように微笑んだ。

「この子に会いに行くんだよ」
「お供します」

途端、正一は身の振りを変えた。
ああいう思い切りのいいトコを百蘭は気に入っているんだろう。

「スパナ君は?」
付いて来る?と聞かれ丁重にお断りした。













































出てった二人を見送って、

(係わりたくないけど。
ま、無理だろな)






ミルフィオーレカンパニー室長を務めるスパナは、また一つハンバーガーに手を伸ばした。































































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